─学園ラブ─

□肝試し
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「じゃあ…行ってきます…w」
「おう!、頑張ってな!」
ルフィ提案の肝試し。
参加者は俺を含めてルフィ、ウソップ、ビビの四人で。
順番決めるクジを引いて、一番最初になったビビが出発し、そのちぃと意気消沈気味のビビを送り出した後、ルフィとウソップが草陰に設置したモニターの前に集まった。
実はあのクジも、肝試し自体がいかさまで、肝試しをした事がねぇってビビに肝試しを体験させようと、そしてそのビビの様子を観察しようってのがこの企画の趣旨で。
「…悪趣味がw」
その二人を横目に腕を組んで、ちぃと体を竦め気味に歩いていくビビを見送る。
最初はくだらねぇと参加する気も無かったが、もしなんかあった時この二人だけに任せるのはちぃと不安で、仕方なく俺も参加する事にした。
『…………w』
「わはは、ビビのやつ、かなりびびり気味だな」
「おいゾロ、お前も来て見ろよ。面白ぇぞ」
(…………)
ルフィに手招かれて、二人に近付いてモニターを見ると、ウソップが親父に借りて設置した定点暗視カメラが映す画面の中のビビは、随分不安げな様子で。
肩を竦ませて、持った提灯を両手で握り締めながらおずおずと歩いている。
(…………)
その姿にちぃと意外さと、何かを感じた。
あいつはいつもびびらねぇで。
びびるにしてもほんの一瞬体を竦ませる程度で、俺はあいつと知り合ってからも、今まであいつがここまでびびって体を竦めてる所を見た事が無かったから。
(…………)
だからモニターの中の不安げに、キョロキョロと辺りを見回しながら歩いているビビに、ちぃと新鮮さみてぇなもんを感じている。
『〜〜〜〜w。Σ!!w』
ふいに何かに驚いたみてぇに、横の茂みから跳びずさったビビ。
『な…なに…?w』
何かあったらしく、体を竦ませながら、それでもその茂みの方に確認しようと恐る恐るながら近付いて行っている。
ナミなら大声上げて一目散にその場から逃げるだろうってのに、びびりながらも確認しようとする所がやっぱあいつは度胸がある。
『〜〜〜〜w。Σきゃあっ!!!w』
その時、画面からバサバサバサッっと、鳥の羽ばたく音がして、同時にビビがその場にしゃがみ込んだ。
『〜〜〜〜、もうやだ…w。やっぱりやるんじゃなかった…w』
聞こえた声はかなりびびっていて、ちぃと震えている。
『もう早く行っちゃおう⊃⊃。立ち止まるから怖いのよ⊃⊃』
意を決したみてぇに声に力を入れて、足早に歩き出した。
『お化けなんていないんだからっw。そんなものいないんだからっw』
てめぇに言い聞かせているらしく、スタスタと歩きながら威勢良く独り言を呟いている。
『…え…?w。なに…?w』
(?)
「なんだ?」
ふいにビビの足が止まって、辺りを見回しだしたビビに、俺達もモニターに注目する。
『…誰?w。誰かいるの…?w』
辺りを見回すビビの表情は、今まで見た事がねぇ程不安げで、態度もビクビクしていて。
『ルフィさん…?w。やだ…w、なに…?w』
「?。なんだ?。俺ここにいるぞ?」
「どうしたんだ?。ビビのやつ」
(…………)
不安げな顔で辺りを見回すビビに、なんだ?と三人でビビの様子に注視する。
『…や…w。なに…?w。誰…?w。Mr.ブシドー…?w。ウソップさん…?w。…やだ…w、いやあ!!w』
「!!?」
いきなり走り出したビビにやべぇような気がして三人で立ち上がった。
が、モニターの中じゃ後ろから誰か来ている訳でもねぇで、ビビは一人で走り逃げている。
「どうしたんだぁ?、ビビのやつ…」
「さ…さぁ…w」
首を傾げるルフィに、ちぃとびびった顔でウソップが返す。
『きゃあっ!!w』
「「「!!」」」
モニターの中でまた鳥の飛び立つ音がし、同時に悲鳴を上げたビビがしゃがみ込んで。
『〜〜〜もうやだ……』
しゃがみ込んだままのビビは体を強ばらせて、声も弱々しく。
『きゃあっ!!』
また鳥の飛び立つ音に、ビビが三度悲鳴を上げた。
『…………ひ…っ……』
(!……)
『…ひっ……ひくっ……』
「お…おいw。ビビのやつ泣いてるぞw」
(…………)
耳を押さえてしゃがみ込んだままのビビ。
怖さにか泣いてるからか、小刻みに体が震えている。
その姿に何かが疼く。
じっとしてられねぇような、体ん中で何かが疼く。
気丈なあいつがあんなに小さくなって震えながら泣いている。
『……ルフィさんっ…』
「ビビ…?」
『……Mr.ブシドー…っ…ウソップさん…っ、…怖いよぉ…っ…』
「ビビ…!」
(っ!!)
「迎えに行こう!!。行くぞゾロ!!、ウソップ!!」
「待てルフィっ!、兄貴!w。なんだ?w、この声w」
「「あ!?」」
ウソップの言葉に、ルフィと足を止めて耳を澄ます。
モニターの中、音がしている。
声。
風は吹いてねぇし、木も揺れてねぇ。
そんなもんじゃなく、人間がざわめいている。
しかも複数。
読経みてぇな話し声みてぇな声が、ぼそぼそとモニター越しに聞こえてくる。
「おい…、やべぇぞこれ…w」
「ビビ!!」
「くっ!!」
『きゃあああーーーっっ!!!』
「ビビ!!?」
「!!?」
走り出したルフィに続いて走り出しかけた時、ビビの悲鳴にモニターを振り返ると、逃げていくビビの姿が映っていて。
その今までビビがしゃがみ込んでいた場所、そこに黒い影が立っている。
ビビが離して地面で燃える提灯の明かりにその黒い、人間に似た形をした影ははっきり見えていて。
「早く行くぞゾロ!!、ウソップ!!。ビビ!!!」
(ビビ!!)
人間にゃ見えねぇ、まさに亡霊って姿のその影が映る場所へとルフィ、ウソップと走り、
「ビビーーっっ!!、どこだーーっっ!!」
「ビビ!!。返事しろ!!、ビビ!!」
ビビが手放した微かにくすぶる提灯を見付け、辺りをルフィ、ウソップと見回しながら呼ぶが、ビビの返事は無く。
真っ直ぐ走っていったビビの後を追って、暗闇の森の夜道をてめぇらの提灯の灯りを頼りにビビを探す。
「ビビーーっっ!!」
「おおいビビ!!。どこだぁ!!」
「ビビ!!。どこだ!!。返事しろ!!」
三人で走っていると、二股に分かれた道があり。
目的地点に決めた祠を示す、ルフィが昼間"こっち"と書いて貼った紙を木の幹に見つけた。
(…………)
その右の道を迷わず走っていくルフィ、ウソップについて足を踏み出したが、その足を止めた。
「ちょっと待て!!。ルフィ!!、ウソップ!!」
「なんだ!?、ゾロ!!」
(…………)
二人離れて提灯の灯りが少なくなって、貼り紙が見えづらくなった。
一つの提灯でこれだってのに、提灯も持ってねぇあいつがこの貼り紙に気付けたか疑問が湧いて。
「……お前らはそのまま行け!!。俺はこっちを見に行く!!」
「解った!!。行くぞウソップ!!」
「おっ、おうっ!!w」
びびり気味のウソップを連れて正規の道を走っていった二人から、本来の道じゃねぇ方の道に体を向けた。
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