原作サイドパラレル─真章─

□記憶喪失9
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偶然見つけた小せぇ島。
ジャングルみてぇで、町があるようにゃ見えねぇが、肉やくだもんは手に入るだろうと、冒険のにおいに目を輝かせたルフィを筆頭に、何か新薬の構想が浮かんだらしいチョッパーだけを船に残して、後の全員で船を下りた。

ガラクタみてぇな半端な機械文明の残骸が残るその場所で昼飯の弁当を広げ。
「ん。なぁサンジ。あそこからの眺めはよさそうだな♪」
「あ?。ああそうだな」
先に飯を食い終わったルフィが後ろのデケぇ望遠鏡を振り向きながら立ち上がり、腕を伸ばしてその望遠鏡の上に飛び乗った。
そのルフィの言葉に同意していたコックも『俺もちょっと行ってくるか』と跳び上がる。
「なんだか楽しそう∨。ねぇ、ルフィさんっ。私も上げてっ?」
「おう!!、来い来い!!」
俺の横に座っていたビビも立ち上がってルフィにせがみ、それに答えたルフィが片腕を伸ばしてきて、その手に掴まったビビを軽々と引き上げて。
望遠鏡の角度を変える歯車の上にビビを乗せ、そのままそこへ座ったビビ。
「わあ、いい眺めー∨」
「お、鳥のヒナがいるぞ」
「!!、どわっ!!、バカ!!、ルフィ!!。俺を踏み台に…!w」
「「おわあああっwww」」
いきなりルフィに背中に飛び乗られたコックがバランスを崩し、ヨロヨロと二人でバランスを取っているのを、弁当食い終わり、まだもうちぃと食い足りねぇ腹をくだもんで満たしながら、まだ弁当食ってるウソップ、空を飛ぶ鳥を見上げるカルーの背に手を乗せるナミとで見上げる。
「ん?」
「ん?。どうしたぁ?、ビビ」
落ちかけてやがるルフィとコックを俺達同様笑いながら見ていたビビが、ふいにそっちに顔を向けたまま笑いを止めて。
それに訊いたウソップに返事も返さねぇで、立ち上がって見ているのは海の方みてぇで。
「ねぇ、ルフィさん、サンジさん。なにかしら、あれ」
「ん?」
「なんだい?、ビビちゃん」
(?)
「なに?」
下に居る俺達からは木に阻まれて解らねぇが、上に居る三人にはそれが見えているみてぇで。
指を指すビビのその目線と指先の示す方を見たルフィとコック。
「ん。ありゃ海賊船だな」
「え?。海賊船?」
「ああ。こっちに向かってるみてぇだ」
でこに手を当てて海を眺めるルフィの相変わらず緊張感のねぇ物言いで返ってきた言葉に、ナミが俺に顔を向けてきた。
「こっちに…?。…ならこの島はそいつらのアジトなのかしら」
「さぁな。だが船は向こうに止めてあるから俺達の存在はバレてねぇだろうし、海賊がこんな島に興味を持つとも思えねぇからな。だとすりゃやっぱりこの島はアジトなのか…。?」
現状から考えて答えると、ナミの目がふいに座り。
その顔が、望遠鏡の三人に向けられた。
「…まさかあんた達の姿が見られてるんじゃないでしょうね…」
「「「「「「…………」」」」」」
木の上よりも高さのある望遠鏡のその上部。
そこにいるルフィ達から向こうが見えてるとすりゃ、向こうからも望遠鏡か何かで見えているその可能性も大いにある。
「どうするよゾロ?w。逃げるか?w」
ウソップが俺に顔を向けてきて。
「……そうだな。今はビビも戦力にならねぇ。避けられる小競り合いなら遠慮しとくか」
それにちぃと考えて返した。
「………おい、ありゃ帆船じゃねぇぞ。帆も張ってねぇのに近付いてくる」
「うん。それにすごいスピード」
「え?」
「あ?」
ウソップに返した時、ルフィと、ビビも海の方を見たまま言ってきて。
「…もしかしてエンジン動力か?」
「ほぉ、随分いい船乗ってるじゃねぇか。船は小せぇが」
首を傾げるウソップに、どうやらそれが当たったらしく、海を見るコックが感心の声で煙草をくわえた。
「こりゃあ、小競り合いは避けられそうにねぇな」
「………なら仕方ねぇな。迎え撃つか、ルフィ」
「おう。ただし向こうが手を出してきたらだぞ」
「ああ」
「解ってるよ、船長」
ビビを連れて降りてきたルフィ、それに続いて降りてきたコックを含めて、六人でここに来るだろう敵を待つ。

「お前らあの麦わらの一味だろう!!。こんなガキ共がいっぱしの賞金首とはな!!」
「「「「「「「…………」」」」」」」
しばらく待って上陸してきたのは、薄汚ぇ髭面の海賊。
仲間を数人連れてるが、見た所、大して実力もなさげな烏合の衆。
海軍や他の海賊に比べりゃ、簡単に片が付きそうだった。
それでもいつものように、コックがナミを、ルフィがビビを背に庇い立ち、俺も刀の柄に手を乗せ、ウソップもパチンコを準備する。
「…ゾロさん…」
ビビの声がして、敵から僅かに目をビビに向けると、ルフィの後ろのビビは俺を見ていて。
その顔は不安げながらも、どこか唖然とした顔で俺に向いている。
そのビビから再度敵に視線を戻し、
「かかれぇ!!!」
「よし。行くぞ、みんな」
向かって来やがった海賊に、ルフィの令が下り、向かってくる敵とも言えねぇ小物に刀を鞘から抜いた。
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