救命医と胸部心臓外科医と脳外科医と小児外科医と…
□Karute4,初めての当直
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そしてそれから1ヵ月後、彼らは初めての研修医だけの当直の夜を迎えた。
それまでは各々がそれぞれ先輩医と当直だったのだが、
急患や入院患者に対する治療や判断が非常に優れていたため、
1度、研修医たちだけでやらせてみようということになったのだ。
いくら優秀だからといっても、誰も期待などはしていなかった。
誰か亡くすだろう、と。
研修医なんかに誰も死なせずに乗り切らせてたまるか、と。
そう思っていた人も少々いたようだが、当の本人たちはさほど気にしていないようだった。
先に病室の巡回を済ませた彼らは、ERにいた。
午後10時。その時は雨が激しく降っていた。
南方「これだけ降ると、急患が絶対来ますね」
進藤・朝田「そうだな」
……………………
(ハモった……?)
西條「……器具、用意できてますよ」
次の瞬間、ERの電話が鳴った。
進藤「こちら東都大学付属病院ERです」
隊員「救急です。3次の患者1名、2次の患者2名受け入れお願いします」
進藤「患者の状態を教えてください」
隊員「3次の患者は30代の男性、左側頭部から出血しており意識ありません。2次の患者は、右腕骨折と左大腿部の開放骨折で、共に40代です」
電話を取った研修医の進藤は、受話器を左耳に当てたまま視線を朝田たちに向けた。
彼らは言われるまでもない、という顔をしていた。
進藤「わかりました。受け入れます」
西條「さぁて、これから忙しくなりそうだ」
それからしばらくして、救急車のサイレンの音が近づいて来た。