短編集

□4,風邪を引く
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なんだか今日は朝から体調が優れない。


全くもって僕はこの現象を理解できなかった。


でも、講義が待っている・・・


そう考えて、だるい体を動かして帝都大学へと向かった。







午前中の講義を終えても、それは良くなるどころか悪化していった。


現象には必ず理由がある。


そう考え、重い体を引きずって物理学科第13研究室へ行った。




研究室のドアを開けると、助手の栗林さんがすでに実験の準備をしていた。


僕はそれを横目に、黒板の前のイスに座る。



「湯川先生、どうかしました?」


「どうかしました、だと?僕が非論理的だというのか?」


全くもってこの質問の意図が理解できない。


僕は眉間を指で押さえ、頭を後ろに反らした。


なぜだ。なぜ頭痛がするんだ?


そう論理的思考を巡らせようとした瞬間、僕は咳き込んでしまった。



ゴホッゴホッゴホッゴホッ・・・・・



「ちょっと大丈夫ですか?湯川先生」


そう高い聞きなれた女性の声が聞こえた。



「内海君か。また捜査協力の依頼かね?」

「えっっっっ!?協力してくれるんですか!?湯川先生からしてくれるなんて珍しいですね♪♪」



そう内海君はキラキラとした笑顔を僕に向けた。


それにしてもこの僕が珍しいだと?根拠がないただの推測にすぎない。



「湯川先生?たぶんそれは風邪ですよ」

「僕が風邪を引いているというのかね?」

「ちょっとじっとしててください・・・」



そう言って内海君は僕の額に手を当てた。


「何をするんだね?」


必死に平常心を装おう。


僕だって男だ。少なからず好意をもっている女性に至近距離に顔を近づけられて動揺するのも当然だ。



「やっぱり熱がありますよ」

「これくらいどうってことはない・・・」

「いいえ、今日はいいですから休んでください!!私が草薙先輩に怒られます」



草薙。懐かしい響きだ。


それにしても、僕にこんなにするのなら少しは期待してもいいのだろうか?



「わかったよ内海君。君が看病してくれるのだろう?」

「なっっ・・・何を言ってるんですか、湯川先生///」



その顔が可愛らしく見えた。


「実に面白い」



そう言って、僕は仮眠室へと向かった。





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