100hit記念小説〜哀歌・龍の血と遺志〜
□episode,5別れの時
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翌日、朝田先生の葬儀が厳かに執り行われた。
あまり派手なのは好まない性格だったけど、人脈・人望が幅広かったため、予想以上に参列者が弔問に訪れた。
確かにその性格故トラブルも多かったけど、強力なリーダーシップと天才的な技術に人が引き寄せられるのは当然のことだった。
明真の関係者はもちろん、北洋やちょうど来日していたMSAPの関係者や、朝田先生がアメリカにいた時の病院の人など、とにかく朝田先生と関わりのあった人はほとんど来てくれた。
突然の訃報に皆涙を流し、中には泣き崩れてしまう者もいた。
改めて、朝田先生はこんなにもたくさんの人に愛され慕われていたんだなぁ・・・と心から思った。
会場の最前列には、明真と北洋でバチスタチームを組んでいたメンバーたちが、その後ろにはそれぞれの病院の同僚や関係者たち、かつて在籍していた病院などの関係者と続いた。
正面には棺とたくさんの花が添えられ、その上には朝田先生の生前の写真が遺影として飾られていた。
その写真は、まだ病が発覚する前、海外で同じく派遣されていた時のメンバーと帰国する際に撮影したものだった。
日に焼けた濃い顔と彼らに助けられた人たちの笑顔が印象的だった。
こんなにも朝田先生は笑顔を見せる人だったのだろうか?
そんなことを考えていると、時間になったようだった。
藤吉「それでは、故朝田龍太郎の葬儀を始めさせていただきます。私は司会を務めさせていただきます、藤吉です。最初に、喪主である真希よりご挨拶を申し上げます」