100hit記念小説〜哀歌・龍の血と遺志〜
□episode2,検査結果
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倒れて意識を失った朝田先生を、私たちは処置室に運んだ。
処置室に運んでも意識は戻ることなく、
サチュレーション(血中の酸素飽和濃度)も低く、脈と血圧も安定しなかった。
その処置室での様子からみんなは何らかの病気を疑い、朝田先生から血液を採集し、レントゲンやMRA検査に回した。
頭部から足の先まで入念に調べた。
そして一通りの検査を終えた朝田先生は、空いている個室に放り込まれた。
未だ意識が戻らないまま、みんなは病室で目を閉じたままの朝田先生の様子を観察していた。
口には酸素マスクが着けられ、左腕には点滴の管が付けられていた。
規則正しい呼吸が、マスクを白く曇らせる。
少し落ち着いたようだった。
だけどそれとは対照的に、外は横殴りの雨と暴風で大荒れの天気になっていた。
暴風が病室の窓を激しく揺らし、木々が揺れて葉っぱがそれに煽られて散っていく。
貧しい人々に自らの富を分け与える王子のように、朝田先生も何かをしていたのだろうか?
そんなことを考えていると、検査結果を持った看護士が病室に入って来た。