龍の愛した女性〜ヒト〜
□case7
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なんかいろいろあって疲れた・・・・・
そう思って、真中は自分の医局に戻った。
小児外科
そう書かれた医局の扉を重い気持ちで開ける。
「お帰り」
そう声をかけてくれたのは、同じ医局の5つ年上の先輩だった。
真中「聞いてよ〜〜!!」
「聞いたよ。あの朝田先生のチームに入ったんだって?」
真中「どうしてそれを!?」
「もう病院中の噂になってるよ。あのチームに入れるなんて・・・って」
真中「そんなこと言ったって・・・まだ入ると決めたわけじゃないし・・・」
とはいっても、あの憧れの朝田先生と思いがけず話ができたことは素直に嬉しいと思ったし、研修を終えたばかりの私なんかが誰もが憧れるあのチームに入らないか?と誘いを受けただけでも嬉しかった。
だけど、あの夜のことは口が裂けても到底言えない。
確かに無口で医療に関すること以外には鈍いのかもしれない。
だけど、あの時一瞬見せたあの顔、それを見たのは私だけなのだろうか?
もしかして朝田先生は私を・・・・・
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そう考えると、一瞬で顔が蛸みたいに真っ赤になる。
それを遠くから朝田先生に見られていたなんて、これ以上恥ずかしいことはなかった。