龍の愛した女性〜ヒト〜
□case2
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真中を初めて見たのは、あの時だった………
その時、すでにオレたちはバチスタ手術のチーム・ドラゴンと呼ばれてこの明真や日本で知らない者はいない程になっていた。
そして、世界中からも少しずつ注目される存在になっていた。
そこまでにチームドラゴンが有名になったのには、朝田龍太郎という強烈な刺激・スパイスが効いているからかもしれない。
もちろん、オレだけではなく加藤や伊集院や荒瀬や藤吉などがいてくれたからこそ成り立っていたのだ。
誰かが抜けても機能する。それが真のチームだ。
以前はそれが口癖だった。
そして…………
看護士A「えぇっ!?真中先生って朝田先生のこと知らないの?」
看護士にそう言われているのは、研修を終えて明真大学付属病院の小児外科に赴任したばかりの真中みらい医師だった。
真中「……誰でしたっけ?」
看護士A「朝田先生はこの病院の胸部心臓外科の医者で、チームドラゴンっていうバチスタ手術のリーダー的存在で超有名なんだから!!」
真中「そんな大先生がなんでここに?」
看護士A「ホントみらいちゃんはそういうのに疎いんだねぇ〜私たちなんかが簡単には近づけないって感じ///」
明真の朝田先生は、無口で厳しくてめったに表情を変えないクールで冷血な天才外科医という認識で統一されており、
医学のことにしか興味がないと思われており、同僚などから誘われても柔らかく断っており、
女性関係の噂なんかも聞いたことがないということだった。
だからこそ、危険で堅物っぽい香りがしても高い人気があるのだ。
看護士A「私は1度だけ朝田先生の手術にいたことがあるんだけど、ホント厳しかったわよ。
睨まれたら、本当に石になってしまうような感じ?」
真中「……わけわかんない……」
?「悪かったな……」