龍の愛した女性〜ヒト〜
□case1
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オレは朝田龍太郎。心臓血管外科医だ。
以前から、何かとオレの周りには問題がつきまとっていて、そのせいで病院を去ることもあったが、いろいろあって今は明真大学付属病院の心臓血管外科で外科医として働いている。
以前、明真でバチスタを成功させてから、再びオレは海外に渡って国境なき医師団に参加していた。
銃弾と砲弾が飛び交う中、オレはただただ目の前の命を救うために、メスを片手に患者と患者の間を走り回っていた。
治療中にオレが敵の攻撃を受けて重症を負ったこともあった。
その出血が止まらなくて意識朦朧とする中、オレは初めて死を意識した。
今までたくさんの命と向き合う中で、どんなに治療しても救えなかった命はたくさんあった。
そんなこともあり、オレは死に対して慣れてしまったのかもしれない。
感情がなくなってしまったわけではない。
だからあの時、アイツを見た時には本当に驚いた。