救命医と胸部心臓外科医と脳外科医と小児外科医と…
□Kalute6,噂は本物だった
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そして翌朝には、すでに噂は病院中に広まっていた。
誰もがそれまでの認識を改め、先輩医たちまでもが彼らに好意的になった。
それにしても、人間というものは分かりやすい生き物である。
お金の切れ目は縁の切れ目。
旗色が悪くなればトカゲのシッポを切るように見捨てて逃げる。
かと思えば、ゴマをするようにすり寄ってくる卑怯な一面がある。
どちらにしても彼らの噂は本物で、将来の医学界をリードする若手bPの存在であることに誰も異議を唱えなかった。
その後、彼らの類まれなる腕をかわれて、執刀医として患者から依頼される程、患者から慕われていった。
その4人の噂を聞いた患者が病院に押し寄せ、救急外来や搬送もその日を境に格段に増えていった。
特に素晴らしいところは、彼らが当直の時には1人も死んだ患者がいないところにあった。
1+1+1+1=4に変わりはないけれど、それ以上の効果を発揮しており、完璧なチームがすでに出来上がっていた。
誰もがそのチームに入りたがり、今まで反感をもっていた人たちも彼らの考えに共感し、協力し合う仲間になっていた。
医者としての腕に嫉妬しながらも、彼らの腕には何かを引き寄せるような不思議な力があった。
研修医とかどうとかはもはや関係ない。
医療関係者である前に、人間としてすばらしい面があった。
そしてその後も研修は順調に進み、3年が経過した頃には後期研修も終了し、それぞれの専攻科
進藤一生は東都大学付属病院の高度救急救命センターに、
朝田龍太郎は同じく胸部心臓外科に、
南方仁は脳外科に、
西條命は小児外科に宣言通りに進む道を決めたのだった。