救命医と胸部心臓外科医と脳外科医と小児外科医と…

□Karute2,早くもトラブル!?
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そして進藤、朝田、南方、西條の4人は、それぞれの指導医に付いて行き、回診へと向かった。


斎藤医師の後ろには、白衣のポケットに両手を入れたままの状態で歩く、初期研修医の朝田龍太郎。

その隣にはその様子を心配そうに、だが、どこか面白そうな予感がする顔をした南方仁がいた。


その3人を遠巻きに見ていた看護士や医者たちは、口々に声を揃えて言う。


(あれを見てると、どっちが上級医だかわからなくなるわね)


そしてその2人、いや、特に朝田の様子を見て、指導医の斎藤がたまらず口を開く。


斎藤「なんだ、その態度は?ポケットから手を出しなさい」


指導医や上級医の言うことは絶対。それが大学病院に限らず、あらゆる病院の現実。

治療方針などで逆らったり反抗的な態度をとったりしたら、地方に左遷させられることだってある。


だからこそ、みんなは注目していたのだ。

今日来たばかりの研修医が早速問題を起こすのかどうかを……


朝田は手を入れたまま、ゆっくりと口を開く。



朝田「外科医は手に傷をつけちゃいけないんだよ。ましてや心外(心臓を中心に専門とする外科のこと)を目標とするならな……」


南方「私も同じです。目標は脳外ですから……」


朝田「話は終わったか?」

南方「それとも、先生は回診は休みます?」




……………………




その2人の言葉に、誰も反論できなかった。

乱暴だけど正論な答。


優秀な外科医は手や指先がキレイであるという。

自分がもし患者だとして、キレイな外科医と傷だらけの外科医がいたら、どちらに執刀してほしいだろうか?


それをわかっていたからこそ、何も言い返せなかったのだ。


いや、言い返すと認めてしまったことになってしまうかもしれない。


自分はいい医者ではない、と。


だけど、指導医の立場からしてみれば、これほど屈辱的なことはないだろう。








南方「そういえば、進藤と西條は大丈夫かな……」
 

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