長文【零】

□堂々巡り
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篭の元へ戻ると、むさ苦しい男二人が空を仰ぎ倒れていた。



「…おい!!!」



周囲の鳥達が一斉に飛び立つ



大声に覚醒した男達は



「え?」



「ありゃ?」



「俺等何しとったんじゃ?」



「…………はて?」





よろりと起き上がり、間の抜けた音を連発ながら顔を見合わせていた。



同じ時間を繰り返していた事は、
すっぽり記憶から抜けているらしい。



「はぁ……戻ったぞ。発ってくれ。」



そう告げて どすん、と乱暴に篭の中へ腰を下ろした。



「あ!あぁ…へぇ…。すんません。」



そう返事して、また息を合わせ篭は揺れる。










「ところでお嬢、さっきは何処へ行っていたんで?」



前から声がしたので、仕方無しに



「…厠。」



とだけ答えた。










暫くしてまた



「その頭の包帯、お怪我でもなさったんで?」



と問い掛けてきた。



狐は至極面倒臭いといった様子で



「………………ああ。」



と返した。










暫くすると



「…下世話な事聞いちまってすんません。町まで後少し、そん中で寛いでくんな。」



と男は笑った。











午後の大地に降り注ぐ暖かな光は
眠気を誘い、規則的な揺れと足音も手伝って狐を夢の世界へと誘った。












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