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□I thought you★
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「はぁ、ん…っ…グレイっ…」



浴室で響くナツの声。

いつもと違うのは場所だけでなく、ナツが積極的だってことだ。


全くナツに触れていないのに、ナツは自ら身体を擦り付け嬌声をあげている。




こうなった原因はただ一つ。




ー 数分前のこと。



「ハッピーと約束あっから、先帰っててくれ。」

「あ?約束って何だ。」

「ふっ、男同士の約束を簡単に語れるか!これから熱い戦いが俺達を…」

「ナツ〜!早くしないとステーキの安売り終わっちゃうよー!」

「んおっ、忙ねぇと!んじゃ、グレイ後でな。飯と風呂済ませてくっから!」

「は?おいっ…」

声をかけようとも遅く、ナツは引き止める間もなく去って行く。


何が男同士の約束だ。


呆れて溜息を吐きながら家へと向かう。

適当に飯を済ませてソファーでのんびりとナツを待つが、先に風呂に入ってしまおうと立ち上がると
ふと茶色の紙袋が目に映る。


「あ…、忘れてたわ。」


それは数日前に買ったアレ。
そう、頑固な恋人をエロくするアレ。

かなり小さな小瓶で、1回量は一滴と微量で効果のある代物らしい。

「今日使ってみるか。」


訳わからん理由で返事も待たずにおいて行かれた仕打ちだ。


どこかイラついていた気分が一転して、ニヤけが止まらない。

ナツが来る前に水に一滴と言わず数滴落とし、混ぜたものを冷蔵庫に準備し上機嫌で風呂へ向かう。






湯船にゆっくり浸かり身体を洗おうと湯船から出る。
髪を洗った後、椅子に腰掛けボディソープを手にとりタオルを泡立ていると脱衣所の方から物音が聞こえた。


「グレイ…?」


物音に気付きドアの方を振り向けば、ドア越しにナツらしき形が薄っすら目に映る。

「あ、ナツか。悪い、もうすぐ上がっから。」

そう声をかければ急ぐように向き直り、身体全体を洗い終え泡を洗い流そうとした瞬間。
ドアが開く音がし、再び振り向こうとすると背中に肌のぶつかる感触と、同時に腹部に腕が伸びてきてぎゅ、と抱き締められる。石鹸の匂いに混じったこの香りは…


「!……ナツ?」
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