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□初恋
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今俺は、今まで感じたことのない感情をある1人の相手に抱いてる。



それは相手を好きすぎるばかりに甘くて、切なくて…
けど、一緒にいるだけで幸せで。




俺は胸を踊らせた。

だって、ガキの頃憧れていた人と会うことが叶うんだ。

その人は俺の憧れ、俺の目標で。
でも7年前、アクノロギアに倒されたって聞いていた。その時、目標にしていた存在が消え、憧れという光が一気に消えたようだった。そして悲しみと裏切りに近い結果に怒りを覚えた。


しかし、その人は7年間そのままの姿で生きていた。
生きているとしても敗北したには変わりなく、そんな奴に7年間鍛えてきた俺は負ける訳がない。
それに、生きていると知った今、死んだと思った存在が生きていて素直に嬉しく、その人を倒せば目標を越えられる。そう思えば、一気に闘志が芽生えた。




ー俺は絶対あの人を越える。




あんたの時代は終わりだ、

ナツさん。




もし会う時が来たら、裏切られた憎しみと、俺の方が強いという優越感を抱くと確信していた。


しかし、その考えはいとも簡単に崩れ落ちた。





『お前らがセイバートゥースか!』



やっと会えた。


噂には聞いていたが7年前と姿形は変わっておらず、俺より背が低い。でも間違いなく目の前には、ガキの頃憧れていたその姿があった。熱い意志、信念を感じる真っ直ぐな瞳に、懐かしい憧れを思い出し、もっとナツさんのことを知りたいと思った。


そして、大魔闘演舞でナツさんと戦った。


結果、まさかの敗北。
2人がかりで自分達からしたらぼろ負け。



ー『そうか。だったら俺はこの力で笑われた仲間の為に戦う。』



強すぎるよ、ナツさん。

背負う物が違うっつーか。
カッコよすぎ。



意識がはっきりしない中、俺は微かに覚えてる。




ー『また戦おうな。』

眩しいナツさんの笑顔。
戦った後にあんな顔する奴いんのか。
少なくとも俺は今まで戦った相手にあんな笑顔を向けたことはなかった。



ードクン、


その笑顔を見て、身体的疲労からではない別の何かが、俺の心音を早めたんだ。
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