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□やっと繋がった心
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「わぁ…ナツ、ハッピー!やっぱりマグノリアの桜は綺麗だね〜!」

「あい!今が満開だねっ!」

「おう!にしてもよ、何で咲いてすぐ散んのかなー?綺麗だからずっと咲いててくれればいいのによ。」


ルーシィとハッピーと仕事帰りの桜道。


ナツの発言にルーシィはくすっと笑う。

「まぁ確かにねー。でも、限られた時間綺麗に咲くからこそ綺麗なんじゃないかな。」

「うーむ…」

「ルーシィがなんかキザなこと言ってるー!」

「今何って言ったのかしら、猫ちゃーん?」


後ろでぎゃーぎゃー騒ぐルーシィとハッピーには目もくれず、桜を見上げながら歩くナツ。
桜の柔らかな色彩だけがナツの瞳に映る。身体の疲労感がすーっと抜けていくようにも感じた。




ただいまー!と3人の声がギルド内に響く。


「3人ともお疲れさま。」

1番に声をかけたのはミラ。続いてリサーナ、エルフマンとギルドのメンバーがナツたちに声をかける。



「あ、グレイも帰ったのね。おかえりなさい。」

「おう。」

ミラの声に後ろを振り返ると入り口に立つグレイが瞳に映る。



ードクン、


まただ。何だこれ。
少し前から感じている不定期な胸の高鳴り。それが起こる時共通しているのはグレイがいる時。


胸に手をあてると走った後のような速い心音を感じる。


あっちで皆と話してるグレイをもう一度見ると、さらに高鳴る鼓動。

この場を離れたいけど入口は皆がいるからでれない。
グレイに背を向けカウンターへ向かう。
聞こえるはずもないのにこの鼓動が誰かに聞こえそうで。



「はぁ…」

「ナツどうしたの?ため息なんてついて。」

「んお!?ミラか…」

カウンターに突っ伏しているとミラの声がし、驚いて顔を上げるナツ。
それを見てミラはくすくす笑うと優しい表情でナツを見つめる。

「悩み事みたいね。もしかしてだけど…グレイと何かあったの?」

「は?!」

図星をつかれ動揺してしまう。



「最近グレイ避けてるみたいだし、さっきもグレイが帰ってきてからナツ様子変だから。この前グレイも気にしてたのよ?」

「グレイが…?」

無意識にグレイに目が行く。
やっぱり鳴り止まない心音。


ミラに目を映すと何か悟ったような顔をして俺を見てる。
ミラに相談してみるか?

胸元を押さえ意を決して口を開く。


「ミラ…。最近ここがおかしんだ。あいつといると苦しくなる。」

今まで自分の中だけに閉じ込めていた苦しみをミラに告白した。
ミラは表情を変えない。
まるで俺の言うことがわかっていたかのように。


「ナツ…ナツの大切な人って誰?」

「俺の大切な人?そりゃギルドの皆だ!」

「私も一緒よ。でもね、たぶんその感情とごっちゃになってわからなくなってるんじゃないかな。ナツももう気づいてるんじゃない?グレイだけへの気持ちに。」


グレイだけへの気持ち…?






「おい、ナツ。何話してんだ?」


声の方を見るといつの間にか横にいるグレイ。
一瞬胸がきゅうっと締め付けられたかと思えば、また鼓動は再開する。さっきよりもずっと速く。

原因はわからないが最近グレイといるとこうなる。
というわけでグレイには悪いが、最近グレイを避けてルーシィとハッピーと3人で仕事にいくことが多い。



そんな俺に構わず、グレイはどうしたんだこいつと顔を覗きこんでくる。
グレイと至近距離で目が合い顔に熱が集まる。胸の高鳴りは収まる気配がない。



くそっ、


「っ、何だよこれ!」

ーバンッ


グレイの胸板を拳で押し返し、距離をとるナツ。


「ぐっ…てめー、いきなり何すんだクソ炎!」

胸の高鳴りと、それがなぜかわからないことにどうしていいかわからず、グレイに当たってしまった。

「うっせー!変態氷バカ!」


気を紛らわすように、グレイにつっかかる。
こうすればいつも通りだ。




「グレイさまあぁー!」

「のぁっ、ジュビアか。わりぃ、今取り込…」

「帰られてたんですね。ジュビア寂しかったですー!」

後ろからグレイの腕を引っ張り、喧嘩の最中など気にせず猛アタックするジュビア。


ナツはその光景を見て、胸が締め付けられる感覚に顔をしかめる。
ジュビアのお陰で喧嘩も中断されたし、グレイの顔もみなくてよくなってほっとしているはずなのに、


何か息苦しくて苦しい。


「ミラ、話聞いてくれてさんきゅーな。」

今は胸の奥のうるせぇやつのせいで考える余裕もない。
思わず早足でギルドをでた。


「ナツ…」

ナツを心配そうに見送るミラと、


「…でして、ジュビアびっくり!ってグレイ様?」

「あいつ…」

そう呟き少し苦しそうな表情をするグレイ。
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