ポケモン

□XYバンガイ
1ページ/4ページ

※シュネ・メーア・クリドの3人組み(+α)が、もし今のカロスに生まれていたら、なパロディです。







カロス地方。破滅と再生を紡いだ、星形の大地。
そこでは爽やかな蒼穹が、ひとりのポケモン廃人を見降ろしていた。

光あるところに闇もあるのは、世の常だ。人とポケモンのキズナが眩い輝きを放つ一方で、個体値だの性格だのに拘る者たちはポケモンへの非情な選別を繰り返し、暗鬱とした影を落としている。
ある時はチャリンコで、またある時はローラースケートで、いつものコースをグルグルグル。5つのタマゴと死んだ目をしたヒノヤコマ(ほのおのからだ)を引っさげて、彼女は孵化作業に勤しんでいる。

「はい。じゃあこれ、お前さんのポケモンね…。申し訳ないけど、もう来ないでください」

そんな彼女は今日、育て屋さんから出禁をくらった。



「そんな!どーしてですか、急に!?」

いきり立ってカウンターをぽかぽか叩くメーアに、育て屋のオッサンは頭をかいて告げる。

「いやね。ウチはお前さんのようなトレーナーはお断りしているんだ…」
「あたしのようなって」
「バイトから聞いたんだが、いつも「Aは妥協できない…いいか絶対にだ…!」とかなんとかぶつぶつ言ってるらしいじゃないか…」

くたびれた作業着姿の育て屋は、隣りに立つバイトの少年を見る。バイト少年はいつもポケモンのタマゴをメーアに手渡していた。そんな彼は怒った顔で、メーアに指を突きつける。

「あんたのポケモンからタマゴを取り上げるたびに切ない顔されるのはおれなんだぞ!可哀相で見てられないよ!それなのにあんたときたら、やれAがどうの6Vがどうの特性がどうのって…あんまりじゃん!」
「カゲカゲーッ!」

少年といつも一緒にいるヒトカゲが、彼の足元で「そうだそうだ」とでもいう様に合の手を入れた。

「あんたたちって、選別した一番いい奴だけを大事に育てるんだろ?同じポケモンなのに!孵化したみんなを大事にできない奴に、これ以上タマゴはやらないぞ、この人でなし!」
「ぐぬぬぬ」
「とまぁ、そういうわけで。ポケモンも生き物ですからね…。どうしてもというんなら、他の育て屋をあたってください」
「……ああそう、ああそう。そうさせて頂きマッス!」

メーアも負けず劣らず怒りの炎を燃え上がらせる。カウンターに料金を叩きつけ、二つのモンスターボールを回収すると、ぷりぷりしながら出て行った。
育て屋二人組みはそれを見送ると、深々とため息を落とす。

「やれやれ。あんな年頃のお嬢さんまで、ああなのか…。にしてもリィエン、お客さんに向かって人でなしはどうかと思うぞ」
「だって本当のことだろ!だから追い出したんじゃん」
「カゲゲッカ」

少年とヒトカゲは単純に、心ないトレーナーへの非難でいきり立っていた。しかし店主のオッサンはそれに加えて、別のことでも頭を抱えている様子だ。

「客がまた一人減った…ああ…」
「あんな客がいなくなったくらいで、しょぼくれるなよ。それともカナヤは、廃人集いの育て屋さんになるつもりか?」
「それは嫌だが、経営者としちゃ、複雑だわなぁ…。こうなったらもう、従業員を減らすしかない」
「えっ」
「だもんでお前さんら、明日から来なくていいぞ」
「えーーーーッ!?」
「ンゲェーーッ!?」







.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ