ポケモン

□エピローグ
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上空に、一つの灯火があがった。


晴れ渡った蒼穹の下、シュネは一人の敵兵にとどめを刺していた。敵兵が最後に残した言葉は、己ではなく、己の相棒と見受けられるルカリオの命乞いだった。

それを聴くと、彼は嗤った。
微塵も気がついてはいなかった。空に上がる破滅の足音にも。己が零す愉しげな面持ちにも。

「笑わせるな。お前が最初………次にコイツだ」



一人の王が、破壊の神となったその日。

大きく高く上がった灯火は、それでも、シュネの冷たくなった心に映りもしなかった。




* * *




その灯火は、まるで昼間の彗星だった。


城外の施設から表に飛び出したメーアは、その輝きを見た途端、彗星の規模を計り知った。
あんなに遠い上空から、あんなに大きな光を湛えて――一体、どれほどのエネルギーを纏っている事か。

彼女は理解した。この後自分に―自分を含む全てのものに何が訪れるのかを。ああ、と思わず感嘆の声をこぼす。

「きれい……」



一人の王が、破壊の神となったその日。

メーアは立ち尽くして、その光に最後まで見惚れていた。




* * *




その彗星は、大地を噛まんとする勢いで落下していた。

そう気がついたクリドは、戦慄しながらも傍らのギルガルドとそれを見守った。ほぼ真上だ。
もうどうしようもない。そう直感した。逃れるにはあまりに広大で、呪うにはあまりに美しかった。

「なぁ……」
彼は小さくギルガルドに声をかけた。「キシン……」と不安げな声が返ってくる。
「お前には、苦労をかけっぱなしだったな…」

光の落下する音が聞こえる。戦の喧騒をぬって、高く響く。



一人の王が、破壊の神となったその日。

クリドにはその音が、何百、何千もの命の悲鳴に聞こえた。




* * *








その日。
光は全てを飲み込んで


何も残さず、消し去った。























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