ポケモン
□メーアとクレッフィ
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「ポケモンは、裏切らない」
よく聞く台詞だった。
人と違って愛情を込めれば、その分返してくれる、というのだ。かわいがれば、懐いてくれる。信頼すれば、ポケモンもその人を信頼してくれる。手塩をかけて育てれば、めきめきと強くなる。一国を滅ぼす以上の、計り知れない力でもって。
それは、その通りだ。メーアはこの国で最もそれを実感できる場所にいる。しかし、だからこそ、こう断言できた。
―ポケモンだって、裏切る。
「ちゃんと帰ってきてね、何が何でも」
メーアは戦地へ赴く自分の育てたポケモンたちに、必ずそう約束をさせた。
「殺して殺して殺しつくし、だけど決して殺されてはだめ。例えキミに指示する人間が死んじゃっても、キミは殺すのを止めちゃだめ。キミが殺されるのを許しちゃだめ。必ず、あたしのところへ帰ってくること。わかった?」
しかし、その約束を守ったポケモンは、半分もいなかった。
みな率先して命を奪い、そして命を散らしていった。メーアのところになど、見向きもしないで。
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