ポケモン
□Pkmn
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数日後。
「あっセレナだ!」
「こんにちはセレナさん」
「おひさしぶり。ティエルノ、トロバ。二人もヒヨクに?」
「ううん。その前にねぇ、メークル牧場に行ってみようと思って!」
草原と海が目に鮮やかな12番道路で、三人が偶然に会していた。小高い丘の、草むらの外れ。すぐ傍はちょっとした崖で、真っ青な海の水平線までがよく見渡せた。
「メークル牧場ではメークルに乗って、そこいらを散歩できるんですよ」
「よければセレナもどぉ?景色がとってもサイコーなんだって!」
「ふーん、素敵ね。でも私はまたに・・・」
あら、とセレナは遠く一点を見つめて口をつぐんだ。ティエルノとトロバがその目線の先を追うと、海の上に白い線を引く何かが走っていた。
「なにあれ?」
「ええと・・・水上スキー、という奴じゃないでしょうか?」
「おー、クールだねぇ!機械にロープで捕まって、高速で滑るやつでしょ?クルッて跳んだりするよね」
「でもあれ・・・ポケモンじゃない?」
「・・・」
「・・・・ほんとだ」
ここからでは単なる白い線にしか見えないが、それは凄まじい水煙を上げているようだった。二つの影が前と後ろに、同じ感覚で並んで走っている。前にいる影はセレナの言った通り、ポケモンのようだった。そこから伸びたロープに繋がって、危なっかしげに後ろの影が揺れている。そちらは人間だった。
「エレザードね・・・」
「めっちゃ走ってる」
「なんか・・・後ろの人見たことがあるような・・・」
そうトロバがいった時、その後ろの人影から「イエーー!サーーィコォーーーッ!」と声があがった。
(黒っ・・・)
(黒い・・・)
(凄い日焼けね・・・)
特に示し合わせてはいなかったが、三人は同時に海から目をそらせた。
「じゃぁ、私はお先に」
「うん。またねぇ」
「お気をつけて、セレナさん」
そうしてまた、それぞれの旅を再開するのだった。
オワリ
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