ポケモン

□Pkmn
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【番外】XY発売2周年おめでとう



―判らぬ

静寂が支配する闇の中。そのポケモンは思考の深くに沈んでいた。

終の洞窟、と人はその場所を呼んでいる。微小の光明すら届かない地中の底にポケモンはいた。その容姿も生態も、存在すら人々の目にさらされる事はない。しかし、古来よりカロスに生息し見守り続けている。その名はジガルデ。

「Z〜Z〜…」

―解せぬ

本来ならその洞窟に君臨するのはジガルデ一匹であった。しかしそこには、いつもは存在しない奇妙なものが、ジガルデの前に鎮座している。

「ZZ…ZZ…」

一本の小さな樹木が生えていた。葉は無く、枝先が幾重にも分かれて広がっている。だがここは、日光及ばぬ洞窟の中。
それは小柄な木の形をした、別の何かだった。神秘的な雰囲気をまといつつ、実にベタな寝息を立てている。

―なぜ、こいつはここにいる

「ZZZZ…」

―しかもなぜ勝手に寝てるのだ。私の寝床だぞここは。

「ZZZZZZZZZ」

―そもそもZというのは、私の頭文字だぞ。こいつYだろ。あ、間違った。Xだろ。

「XXXXなんつって寝る奴なんか、誰もいないよ」

木はそう言葉を発し、わさわさと全身を左右に揺らした。その正体は、ゼルネアス。七色の角を持つ見事な容姿のポケモンだが、今は全くやる気がないらしく木の形になっている。

―起きてるのか。何をしに来たのだ?

「うん、いやなに。最近キミが話題になってきているからね。Zがどうの。マイチェンがどうの。10%フォルムがどうのって。それでキミの顔を見に来たってわけよZZZ」

―ウソをつけ。寝てるじゃないか

「イヤイヤ、このZZZはさっきから、キミの事をずっと呼んでたんだよ」

―もう少し、ましなウソをつけ!

ジガルデは不機嫌になった。ゼルネアスはそう言っても、ぐうすか眠っていたことは明らかだ。バカにしているのかこいつは。

―話題だと?世間がなんと騒ごうが、私のやることに変わりはない…この地でカロスの秩序を見守ることこそ、私の使命

ジガルデがそうカッコイイ事を言って威厳を見せ付けようとした時、騒々しい音が洞窟に響いた。ドーンという大きな音に震えて、岩の天井から小石の粒が降りそそぐ。猛烈な風圧が、二匹のいる最奥の空洞に吹き付ける。

「あーあ、相変わらずここは陰気で窮屈で埃っぽいな!飛べやしないし、嫌んなるぜ!」

暗闇に同化した真っ黒な両翼を持つポケモンが、二匹の元へ飛来した。といっても、岩壁に阻まれた狭い空間に巨大な羽を広げられず、のしのしと石を蹴って歩いてくる。
イベルタルという名のそのポケモンは、体に走る赤い模様を光らせてジガルデとゼルネアスを睨んだ。

「よくまぁこんな所に住んでられるね!オマエは」

―嫌ならさっさと帰れ。お前まで、何しに来たのだ?

「うむ。たまたま近くを通ってな。それに今、オマエが何かと騒がれてるじゃないか!映画がどうの、新作がどうの、モビルスーツがどうのって。そいで気になったから寄ったのよ」

―フン、くだらん!そのような些末事に興味はない!地上でなんと言われようが、私は私のやる事を……

「そりゃ興味沸かないわなぁ、ずーっと地下に引きこもってるんじゃさ。そんなじゃキミ、映画にポッと出るだけ出て、ゲームはまさかのスルー。何て事になりかねないよ?」
とゼルネアス。

「大体オマエのやる事って何?今のカロスなんて平和なもんさ、監視することなんてあるのか?どうせオマエの見張るもんなんて、自分を『メガノコッチ』とか呼ぶ奴らが世間で台頭してこないか、とかだろ」
とイベルタル。

―帰れ。お前ら、マジで帰れ
とジガルデ。

―ほんと何なの。こっちはさ、ただ静かにやることやってるだけっつう話しだよ。バカにされる筋合いはないぞ!何故邪魔をされなきゃならんのだ!これだから、私は地上に出るのが……

「あっそういや、フェアリー界のうわさで耳にしたんだけどさー。イベルタルって今人間たちとつるんでるらしいじゃん。本当なの?」

「何だよ、フェアリー界のうわさって。普通に風のうわさでいいだろ。気持ち悪いな」

―聞けよォ!

冷たい地面に慣れきったジガルデだったが、今やしゅーしゅーと怒りの熱を上げている。しかしゼルネアスもイベルタルも全く無頓着だ。

聞けばイベルタルは、眠りについていた所を人間の事情で叩き起こされてしまったらしい。そこで居合わせたポケモンたちをそろって見初めてしまい、そのケツを追いかけているのだという。ポケモンたちは一人のトレーナーと旅をしているので、自動的にこいつもその人間につく事になったのだ。

―相変わらずお前は、そっち系なのか…

「そっちも何も、おれさまに性別はない!よって性別の壁などなァい!」

「気持ち悪いのはキミだよ。ガチホモめ」

やーれやれ、と木の形をしたゼルネアスは枝をふる。







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