ポケモン

□Pkmn
10ページ/72ページ









4 こだわりメガネ・カロス式



俺はフレア団のしたっぱ!
フレア団とは、カロス地方の超一流エリート組織。両親に借金をして五百万を払い、念願かなって入団を果たしたのだ。お袋は泣いてたけど、気にしたら負けだ!

最近我らは大忙し。幹部や科学者たちまでがカロス中を回って、勿論したっぱの俺たちもあっちへこっちへ狩り出されている。
今もカロス発電所の乗っ取り任務に参加して、自分で言うのもナンだが大活躍中である。制圧はあっさり完了し、今頃ミアレの街は停電で大騒ぎだろう。あそこには知人や友だちが多いけど、まぁただの停電だし、何よりこれは我らの計画にかなり重要な任務らしいので、気にしたら負けだ!

そうして発電所内に突っ立って、段々退屈になってきた時。突然入り口の方がドタバタと騒がしくなり始めた。やがて見慣れない子どもが一人、立入不可能なはずの発電所をうろついているのを見つける。

「おいそこ!何してるんだこんな所で。どこから入ったのだ?」
「どうもー。社会科見学に来ました」

そいつはとぼけた様な笑顔を貼り付けて俺にそう言った。ふざけた子どもだ。

「お断りだ、お断り。ここは我々フレア団がスマートに占領中だ!分かったら速やかに帰って、ミアレ博物館にでも行きなさい」
「ああそう?あんたのお仲間ならさっき、スマートに撤退してったよ。今はもう、あんた一人だよ」
「何だとぉ?」

俺は怒り心頭になって、そいつにラクライをけしかけてやった。入団してから手元に預けられ、今やそれなりの間柄となったスマートな相棒は、よどみなく子どもと対峙していく。こいつ相手では、泡を食って逃げ出すことだろう。
ところがそうはならなかった。結果を言うと、子どもの繰り出したハリボーグの一撃で、ラクライはあっという間にのされてしまった。

「あ、あれぇ?」
「はい。賞金」

どうやらトレーナーだったらしい子どもはとぼけた笑顔のまま、当たり前の様に両手を差し出してそう言った。とり合えずその手にお金を押し付けて渡すと、「お帰りはあちら」と出口を指差す。

「こいつー!よくも邪魔しおって」
「そっちこそ変な格好で変な悪巧みして、恥ずかしくないの?」
「変な格好?失礼な!見てみろこの赤一色を。世界一決まってるだろうが!」
「えぇ、それが?」
「そうだ!ケチャップやトマトソースをこぼしても怖くない。そんな社会を我々フレア団は、実現しようとしているのだ!」
「あっそ」

ハリボーグを労ってなでるガキんちょは、首を傾げた。

「でも幹部とか言うあのハゲの人は、まっ白スーツだったけど。あれはケチャップこぼしたらまずいでしょ」
「つべこべうるさいなぁ。そういうお前も本当は、我らのハイセンスな出で立ちに憧れているのだろう?」
「はぁっ?」
「残念だったな少年よ。フレア団に入るには五百万円の大金が必要なのだ。金の無い者はせいぜいミアレガレットを買い漁り、巷に溢れる量産型スタイリッシュを気取ってるのだな」
「何を勝手な!誰があんな、ピカピカ光るハイテクメガネなんか羨ましがるか!」

メガネ?ああ、そういえば科学者の女の子がそういうゴーグルみたいのを付けていたな。俺は何となく思い出した。

「なーんにもかっこ良くないし。あんなの、全然欲しくないし」
「…欲しいんか」
「欲しくないっ!」



.

1/4

次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ