DASH

□はくす
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人類再生プログラムの起動が完全に凍結されてのち・・・
老いも病もない天上楽土の星から、遠く離れた地球を夢見る者たちがいた。

「ヒマねぇ〜」
「…」
「ヒマですね」

潮風に当たりながら、三人の人物が草原に佇んでいた。寂しくなるほど広く遠く、海が波を生み出している。

「ねぇトリッガー…じゃない、ロック。その体育座り止めたら?悲しみがこっちに移ってきて、もの凄くイヤなんだけど」
「そうですか…そうですね…」
「あれからもう10年だしな」
「おっと、それ以上はいわせないぜ!」
「いつだったか、すぐそこまでロケットが来てた気がしたんですが…」
「途中で爆散してたな」
「……」
「まぁまぁ!ここまで飛ばせられる様になったんなら、後ちょっとで迎えに来てくれるんじゃないの?」
「そ、そうですよね」
「ほらもう、泣かないの!こんな美少女二人はべらせてんだから、元気出しなさい」
「今のおぬしは、壮年のおばさんだろう」
「ウルサイぞぅ!」

びゅうう、と風が通り過ぎていった。

「こんなやり取り、もう何十回目…?退屈すぎるわ」
怒ったようにその場に寝転んで、壮年のおばさん(外見)は口を尖らせた。



* * *



そのずっとずっと昔、全く同じ場所で。



「やぁ、トリッガー君。いらっしゃい」

社から出て珍しく潮風に当たりながら、マスターは海を眺めていた。そこへやってきたトリッガーは、いつものように黙したまま会釈をする。

「君がここに来たということは、よほどの手すきなのかな?」
「はい。どうしようもないほど、他にすることが見つかりません。困っていたので、仕方なくここに参りました」
「喜ばしいやら悲しいやら」
「粛清官が手すきになるのは喜ばしいことです」
「そうですね…」
何故だかガッカリさせてしまったようだ。

こんな風に何もやるべき事が見つからなくなってしまったらどうするのが一番良いのか。任務やそのための業務に勤しむのが基本の自分にはよくわからなかった。それに対して普段から勤しむ任務も役割りも肩書きも持たず、ヒマをしているのであろうマスターならば、この無意味な時間の使い方を熟知していそうだ。
最もそんな風に言っては、さらにガッカリさせてしまう気がしたので、何も聞かないことにした。

「見事にヒマだね」
「そうですね。稀なことです」

びゅうう、と風が通り過ぎていった。

「こうなったら、君にとっておきの時間つぶしのワザを、伝授できそうだね」
「時間つぶし、ですか?」
「そうさ。このワザの素晴らしい所は、何の準備も必要とせず、一人でも手軽に行える所なんだ。……けれど、一人より複数でやる方が、より有益な効果が期待できるんだよ」
はぁ。とトリッガーは主を見上げた。



* * *


「ロケットの ト」
「トリッガーの ガ」
「ガガの ガ」
「ガルガルフンミーの ミ」
「ミポちゃんの等身大フィギュアの ア」
「なっなんだそれは!?」
「ブッブー!」


* * *


「亜光速航行制御装置の ち」
「地球旅行希望の う」
「ウルトラダイナマイトの と」
「飛んで行きたい母なる地球への へ」


* * *


「兵器開発費用への疑惑の く」
「空賊さんたちのたこ焼きあたしも食べたいの い」
「イレハンがイレギュラーになってんじゃねーよの よ」
「良い子のゲームで全裸はNGの じ」


* * *


「人類再生プログラム要らないかもねの ね」
「寝言は寝て言えの え」
「永眠場所は地球で決定だぜの ぜ」
「全力で阻止するの る」




































スミマセン、終わりです。
ありがとうございました!

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