DASH

□はくす
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「これにて、ポクテの村花火祭りはおしまいです!またのお越しをお待ちしてるのです〜!」

その場に集った見物人たちへ、聞き覚えのある女の子のアナウンスが鳴った。人々は称賛の言葉と共に笑顔を交わし、名残を惜しむかのように夜空を見上げる。
その人々の中には、ロックたちも混じっていた。

「すごかったね!」
「うん…とっても綺麗だった…!」

次々と弾けては降り注ぐ火花のショーは圧巻だった。元通りの夜空には満天の星が輝いているが、今はそれさえも物足りなく思えてしまう。

ロールははじめ、うち上げ花火を観るのに乗り気ではなかった。なんでも、幾つものロケットたちを打ち上げては爆発四散させていた時のことを思い出すのだという。
けれど今、きらきらと感動に瞳を揺らす彼女の様子は、花火が始まる前までのそれと正反対だった。感極まったようにぽーっとしているロールへ、ロックは笑っていった。

「こんなにキレイだったとは思わなかった!花火って凄いなぁ」
「うん…」
「来年の夏にもやる予定だって、村長さんが話してたよ。また来ようね!」
「うん……」

祭りの興奮冷めやらぬロックたちは、フラッター号へと帰る。道すがら村長さんの色めく浴衣姿への談義を延々と始めだすロックとデータを尻目に、ロールはもう一度空を振り仰いだ。

「今夜は徹夜ね…!」

そうして一行は、鈴虫の音が盛んな地上を後にし、いつもの大海原へ飛び立っていった。









数日後。
フラッター号の船内でロックを探し回るロールの姿があった。

「ロック!新しい武器の開発が終わったよ!」

ディグアウト中の彼らなら通信ひとつで事足りる用件だが、生憎いつも装備を着けているわけではない。船内をあっちへこっちへと移動する手間をものともせず、ロールは何やら嬉々としてやりきった顔をしている。

お風呂場で熱心にお風呂掃除をしているロックを見つけて、ロールは急停止した。浴槽から振り向いたロックはポカンとして聞き返す。

「へっ?」
「新しい特殊武器だよ!試したいときは、いつでも声をかけてね」
「ボク、なんか開発頼んでたっけ?」
「えへへ、この間の花火を観たら、いてもたってもいられなくて造っちゃった!」

花火?と首を傾げつつも、どんな武器だろうと興味しんしんになったロックはすぐさま開発室へ向かった。

ロールはニコニコだ。いつもならロックが遺跡から持ち帰った物にインスパイアされて新兵器が生み出されるが、どうやら今回は、別のものが彼女の創作意欲を掻き立てたらしい。

けど今、花火っていった?ということは…

「これだよっ!」

差し出されたそれは、ロックの右腕用に開発されたいつもの特殊武器。太くてシンプルな作りの大砲だ。

「名付けて、ハナビームアーム!」
(名前…)
「弾の色がね、5色あるの。内部の切り換えボタン一つで自由に色を選べるよ!けど弾数に限りがあるから注意して」
「う、うん」
「火薬の種類が限られちゃって、あまり威力は出ないんだ。だから、ここぞって時に敵の注意を引き付けるのに最適だよ!」
「それって…花火だね」
「花火です!」
「気に入ったんだね…」
「うんとても!」

じゃあ、今日の夜にでも空へ向かって撃ってみよう。
ロックがそう言えば、ロールはスイカを求めて直ちにフラッター号の舵をとるのだった。





























因みにハナビームアームは強化すればそれなりの武器になるそうです。勿論、大量のゼニーと引き換えに…
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