おはよう・おやすみシリーズ
□オヤジ様とおやすみ
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また叱られてしまった。
とぼとぼと歩く足は重い。
嵐がきて、モビーを護りたくて甲板に出たら隊長たちからお叱りを受けてしまったのだ。隊長たちが私を心配してくれているからこそ叱ってくれたのは分かってる。でも、私だって護りたい。
私だって、みんなの家族なんだから。とぽたぽた落ちる涙を拭って辿り着いたのはオヤジ様のお部屋。
扉をノックしようとすると中から***か、入れ、とオヤジ様の声がしたのでオヤジ様はやっぱりすごいなぁ、と思いながら扉を開いた。
「どうした?」
「オヤジ様、あのね…」
「叱られちまったらしいなァ。おめェのアニキたちはよっぽどおめェのことが大事なんだろうなァ」
グラララ、と私を手招きしながら笑うオヤジ様に駆け寄ってお膝の上に乗せてもらうとオヤジ様は私の背中を優しく撫でてくれた。
オヤジ様の大きな手は、とても優しい。だいすき。泣きじゃくる私をおめェのアニキたちに説教しねェとな、と言いながら抱き上げた。
「オヤジ様?」
「おれも、***が大事だからあいつらの気持ちも分からなくはないんだがなァ…おめェの強さも信じてるからあんな事で叱ったりはしねェさ」
「……オヤジ様、あったかいね」
「落ち着いたか?」
「うん、…隊長たちのこと、叱らないで?私のこと、心配してくれたの」
「おめェがそう言うなら説教は延期だな」
延期、ということはいつかお説教するのだろうか、と考えていると私の頭にオヤジ様の口付けが降ってくる。オヤジ様を見上げると彼は優しい目をして今度は私の頬に唇を落とし、最後に私の唇とオヤジ様のそれが重なった。
「今夜はここで寝るんだろう?」
「いいの?」
「いいに決まってる。今回は添い寝で勘弁してやらァ」
「ありがとう、オヤジ様」
私がにこりと笑うとオヤジ様はおめェはそうやって笑ってろ、と私の頬をそっと撫でてから私を抱きしめたまま立ち上がり、ベッドに移動してそのまま一緒に倒れこんだ。
「***の瞼が閉じるまで子守唄代わりにおれの昔話でも聞かせてやろう」
「それは、楽しみ。聞かせて?オヤジ様」
「そうだなァ、…まァ、話の前に先に言っておく。おやすみ、***」
「…おやすみなさい、オヤジ様…」
オヤジ様の腕に抱かれ、私は彼の心音と声に耳を傾けた。
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