これがわたしの幸福論

□その4。
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「おぎゃあああああ!!」




桃源郷についたどー!!と腕をぶんぶんと降っているとシロさんが綺麗だなーと呟いたのでわたしは大きく頷きました。




「誘ってくれてありがとう鬼灯様!桃太郎元気かなぁ?」


「ももたりょしゃん?」


「そう!桃太郎!」


「ももたりょしゃん!」




わたしもはやく会ってみたいです!なんて思いながらにこりと笑うとシロさんは尻尾をぶんぶん振りながら紅さんは可愛いね!と言ってくれた。いえいえ、シロさんの方がもふもふしていて可愛らしいです!と首を横に降っていると柿助さんがまわりをキョロキョロと見渡してわぁ、と声をあげた。




「さすが観光名所!」


「建物は中華風だな」


「ここは日本と中国の境にあるのです。ですから双方の貿易の場にもなっています」




ルリオさんの言葉に鬼灯様が説明を加える。鬼灯様は物知りです!すごいです!とぱちぱち拍手すると鬼灯様は少し頬を緩めてわたしの頭を撫でてくれました。




「あ、そーなんだ!じゃあ小籠包食べ放題?」


「おぎゃあ?」


「………何で中国イコール小籠包食べ放題となるんですか…紅も食べ放題に反応しないでください。」


「おぎゃ!」




仕方ないじゃないですか!しょうろんぽうさん?はよく分かりませんが食べ放題ということは食べ物なのでしょう?きっと美味しいものでしょう?食べてみたいと思うじゃありませんか!と抗議すると鬼灯様からデコピンをいただきました。痛いです。



なんてやりとりをしながら白澤さんのお家兼お店…えーと、極楽満月?に向かっていると知らないお兄さんに鬼灯の葉っぱの説明をする白澤さんの姿が見えて、わたしはおぎゃ!と腕をバタバタさせました。白澤さんの言っていることは難しすぎてわたしにはよく分かりません。白澤さんすごいです!と思っていると鬼灯様が舌打ちをしたのでわたしはぴたりと動きを止めました。




「もっとも貴方はたらふく食って内蔵出るくらい腹下せばよいのです」


「伏せろ!コイツは猛毒だ!!!」


「えっ…あ、鬼灯さんと…」


「おぎゃっ!」


「紅ちゃん!!紅ちゃんいらっしゃい!!おじいちゃんに会いにきてくれたのかな?おい!紅ちゃんだけこっちへ渡せ!!」


「絶対嫌です!!紅もジジイより私の方がいいと言っています!!」


「おぎゃう。」




いえ、わたしは何も言ってません。と言い争うおふたりに首を横に振りながら知らないお兄さんにぺこりと頭を下げるとお兄さんもぺこりと頭を下げ返してくれた。




「桃太郎っ!遊びに来たよ!ワンワン!!」


「おー!シロッ!柿助!ルリオー!」


「元気?桃太郎」


「元気元気!何だお前少しデブッたんじゃねーかー?」


「ももたりょしゃん!?」


「あ、そうそう!桃太郎だよ!桃太郎、この子は紅さん!鬼灯様の養女なんだ!」


「鬼灯さんの?あ、俺は桃太郎です。よろしくお願いします!」


「おぎゃ!紅、でしゅ!」





桃太郎さん!すごいです!絵本の中の人と会えちゃいました!とシロさんを撫でる桃太郎さんに感動していると鬼灯様のわたしを抱きしめる腕の力が強くなりました。




「桃太郎!お仕事順調?」


「順調順調!それに俺…今薬についても学んでるんだ…やっぱ今の時代手に職かなっ…て…不況にも強き資格と専門技術…」


「大人になったね!桃太郎!」


「この漢方の権威、中国神獣の白澤様に教わってるんだ!凄いんだぜ!知らない草はないんじゃないかな?…俺、いつか自分印の薬作るんだ」


「桃太郎印のキビダンゴ?」


「それ、既にありますね」


「おぎゃあ?」




未来の猫型ロボットの秘密道具、動物を服従させるあれですか?と首を傾けると鬼灯様はあんなもんなくても調教すればいい…と怖いことを仰ったのでわたしはお耳を塞いでおぎゃうーとなきました。




「…?あの…お二人は親戚か何か…?」


「違います。ただの知人です。お互い東洋医学の研究をしてまして」


「そう、まぁ色々と付き合いがね。今は紅ちゃんのこともあるし。」


「そうですね。でも極力会いませんね」


「ええ…何で…」


「まぁ一言で言うとコイツが大嫌いなんです」


「僕もお前なんか大っ嫌いだよ…あ、紅ちゃんは大好きだからね!!」




そう慌ててわたしに微笑む白澤さんと白澤さんを睨みつける鬼灯様になんだか前よりも不仲になっているような…と思いながら苦笑いしました。




「大体僕は吉兆の印だよ?こんな常闇の鬼神と親戚だったら信用ガタおちだよ!」


「はぁ…」


「いいですか桃太郎さん、この男の脳みそは信用していいですが口は信用してはなりませんよ」


「よう兄ちゃん…何も言わずにコレ飲んでくれん?なぁ?…あ、紅ちゃんはダメだよ!!」


「おぎゃあ!」




なんで飲んじゃダメなんですか?解せぬ!と抗議するわたしに鬼灯様は白澤さんの頬をぎゅうっとつまみながら危ないので紅にそんな物騒なもの近付けないでください、紅なら確実に飲んじゃいますから、と言ってから白澤さんの頬を解放しました。




「おぎゃあ!」


「どうしました?」


「もふしゃん!!」


「…うさぎ…ですか?遊びたいですか?」


「はい!」


「そうですね…あっちでなら遊んできてもいいですよ。」


「ほーずき、あーがと、でしゅ!」


「はい、気を付けて遊んでらっしゃい」


「おぎゃ!」




この前会ったばかりですがなんだか久々な気もするモフさんたちとの再会に、鬼灯様の抱っこから解放されたわたしはにこにこしながらモフさんたちを追いかけた。






















(暫く遊んでから鬼灯様の元へと戻ってみると白澤さんが深い穴に落ちていて、人がゴミのようだーと叫ぶ鬼灯様を他所にわたしははきゅたきゅしゃーん!!と落下してお怪我をしたであろう彼の名前を叫んだ。)


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