大海の金魚姫

□07.
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「またやけどのおくすり?」



「ハハッ、まァな。紅ちゃんは…」



「おぎゃ、いつものおくしゅりよ」



「そっか、…紅ちゃん、治るといいな」



「…おにーしゃんはどじっこをなおさないとね、ろしなんてしゃん」



「ドジっ子は治るのか?」



「ろしなんてしゃんしだいよ」







まずは煙草を控えて…と言おうとした瞬間どてーんと見事に転ぶロシナンテさんにだいじょぶ?と聞きながら苦笑いするとロシナンテさんはもう慣れた!とにこにこ笑った。











「……ゆめ?」






目が覚めるとわたしはキャプテンの腕の中にいて、そっと上を見上げるとすやすやと眠るキャプテンがいた。…いつもより少しだけ幼く見えるキャプテンにおちゅかれしゃま、と呟いてベッドから脱出しようとするもキャプテンの腕の力が強くてなかなか抜け出せない。ぐぬぬ…キャプテン、鬼灯様並みの怪力ですな、ともがいていると頭の上からククッと笑う声がしてわたしはむすりと頬を膨らませた。





「きゃぷてん、おきてるならはなして」



「今起きた。…久々に快眠出来た。もう少し寝る」



「わたしはおきたい!」



「紅は黙って抱き枕になってろ」





抱き心地の良い枕だ。そう言って笑うキャプテンを見てまぁ、それで隈が治るならいいかと思いじたばたするのをやめると抵抗しないのか?とニヤニヤと楽しそうにそう言ったのでわたしはきゃぷてんのかいみんのためならいいよ、と返した。するとキャプテンは驚いたように目を見開いたあとわたしの頬をそっと撫でてやっぱりお前はいい女だよ、と呟いた。






「きゃぷてん、くどくならおとなのおんなのひとをくどいたほうがいいよ?」



「悪ィが、口説きたくなるような女がいねぇ」



「……きゃぷてん、わたしはねんれいてきにあうとだよ」



「フフ…そうか、アウトか」



「…もうすこしねる?」



「……疲れてねぇよ。だからそんな目でおれを見るんじゃねぇ」







なんだその哀れみの視線は、と頬をむぎゅっとつままれおぎゃあ!?と非難の声を出すとキャプテンはククッと笑ってわたしを放してくれた。






「紅、コーヒーを持ってきてくれ」



「あいあいきゃぷてん!」



「砂糖とミルクはいらねぇ」



「…しゅごい…!」



「?」



「おとなねきゃぷてん!わたし、おさとうとみるくないとのめない!」



「そうか」



「うん!しゅごいねきゃぷてん!」






おとな!すごい!と連呼するわたしに落ち着けと笑うキャプテン。
…そんなに面白いですか?わたしの反応…と首を傾けるとキャプテンはわたしの頭をがしがし撫でて行ってこい!と言った。





「いってきましゅ、きゃぷてん!」



「おう、こぼさねぇようにな?」



「わたし、どじっこじゃないよ!」







何もないところで転んだりしないもの!…ドジっ子といえば桃源郷での夢を見たなぁ、と思いながら扉へ向かうとキャプテンがドジっ子か…と何やら寂しそうに呟くのでわたしはきゃぷてん!と彼を呼んだ。





「きゃぷてんは、ひとりじゃないよ!はーとのみなしゃんも、わたしもいりゅよ!」






だから、元気出してくださいね!という意味を込めておぎゃ!とないてわたしはお船の厨房へと向かった。

























(コラさん、おれはひとりじゃないらしい。紅のいなくなった部屋でそう呟いたおれの口角は少し緩んでいた)




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