大海の金魚姫

□04.
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「島が見えたぞー!!」



わああああと盛り上がる船員さんたち。紅の服を調達するか、とわたしの頭をぽんぽん撫でながら笑うキャプテンもなんだか楽しそうで、島ってなんでしょう…?陸地?そんなに楽しい場所なのでしょうか?と首を傾けるとベポさんが紅、はぐれないで着いてくるんだよ?と声をかけてくれた…ということはわたしもあの島でこのお船から降りるのですね、と理解するとこくっと頷いた。




「よし、紅用に迷子札でも作るか」



「おぎゃ!?まいご、ならない!わたし、しっかりしてうのよ!」



「ククッ、半分は冗談だ。しっかりおれについてこいよ?」



「おぎゃ!わかった!」





…って、半分本気だったのですか!?と頬を膨らませると拗ねるな、と軽くデコピンされる。…酷いお兄さんだ、と仕返しにキャプテンの腹部に頭突きした。





「…っ、なかなか威力があるな」



「おぎゃ、ずつきはとくい!」





どやぁ!と胸を張るわたしにキャプテンはわたしの頭をがしっと掴んでぐしゃぐしゃと乱暴に撫でる。わたしがおぎゃううううう!!と泣きそうな声で言うとやめてくれたが…お顔は怖いけど優しいんですよね、キャプテン。と考えているとだんだん陸が近付いてきた。






「キャプテン!食料の調達は任せてください!」




「じゃあおれは酒を!」




「おれは見張りで残りますキャプテン!!」



「あぁ、任せた。おれは紅の服と必要なモンを買いに行く。…あと本屋にでも行くか。ベポ、紅、付いて来い」



「アイアイキャプテン!!」



「あいあいきゃぷてん?」





みなさんが楽しそうなのでわたしも混ざりたくてペボさんの真似をすると一瞬沈黙が訪れる…あれ?わたし何か悪いこと言っちゃいました?と心配になってキャプテンを見上げるとキャプテンは紅、とわたしの肩に手を置いてもう一度だ、と呟く。……もう一度?





「今の、もう一度言ってみろ」



「…あいあいきゃぷてん?」



「疑問形やめろ」



「あいあいきゃぷてん!」



「よし、それでいい」





……よくわからないけれど満足していただけたようです。他のみなさんは舌が回ってなくて可愛いなとかやっぱり子どもって可愛いなとか…なんだかあったかい目でわたしを見つめていて、その視線に少し恥ずかしくなってキャプテンの足に抱きついた。





「どうした?」



「…おぎゃ、なんでもない」



「そうか」



「ん、なんでもない」






にやにやしてるキャプテンは見て見ぬ振り。そんなことをしているとあっという間に島に到着した。





「降りるぞ。ベポ、紅、ちゃんとついて来いよ」



「アイアイキャプテン!行こう!紅!」



「おぎゃ!!」




わたしはベポさんとおててを繋いで船から降りた。暫く歩くと街にたどり着いた。活気のある街におおー!と声を上げるとベポさんもすごいねぇ!と嬉しそうに笑ってくれた。




「まずは服だな…あの店でいいか」



「…おぎゃ、ようふくだ…!」



「…?当たり前だろ?」





洋服が飾ってあるお店を見て声をあげるわたしにキャプテンは首を傾げる…地獄では和服が主流なのです、と主張しようとしたけれどその前にキャプテンはお店に入っていった。人の話を聞いてください!という意味を込めておぎゃあと言うとベポさんが待ってよキャプテン!とわたしの手を引いてお店に入った。






「おい、こいつに合う服を頼む。値段は気にすんな。…あぁ、なるべく動きやすい服で頼む。」



「畏まりました。お嬢ちゃん、こっちにおいで?」



「おぎゃ?」




行っておいで?とベポさんに言われてお店のお姉さんのところへ行くと可愛い子ですねーと頭を撫でられて少し照れた。





「こんなのはどうです?靴はこれで…」



「…あァ、いいな。紅、その服着て来い。…あと何着か用意してくれ。支払いはこれでいいか?」



「はい、ありがとうございます」





洋服と靴を渡され、試着室へと押し込められたわたしはとりあえず着物を脱いで洋服を着てみる。鬼灯様が現世に行く時確かこうやって着てたからあってるはず…と思いながら洋服を着終え、鏡の前でくるっとまわると着慣れない洋服の裾がひらりと舞った。




「紅、着たか?」



「きゃぷてん!きた!」



「……じゃあ行くか。ベポ」



「アイアイキャプテン!紅、似合ってるよ!可愛い!行こう!」



「おぎゃ!」





お店を出るときお姉さんに袋を貰って着物をそこにいれるとベポさんはその袋を持ってくれた。おお、紳士さん…!と感動しているとベポさんは紅は可愛いねぇ、とほわほわした雰囲気を纏いながらわたしの頭を撫でてくれた。…ベポさんが可愛いです、ふわふわもこもこ、かわいいですと思いながらあーがとでしゅ、と頭を下げるとふふっとベポさんは笑った。





「人多いねぇ、紅、はぐれちゃダメだよ?」




「おぎゃ!はぐれないよ!」




「……迷子札は」




「いらない!きゃぷてんいぢわる!」




「フフ…そうか。本屋はあっちだな。行くぞ」




「アイアイキャプテン!」





迷子札はいりません!と頬を膨らませるとキャプテンはにやにやと笑いながら歩きだす。もう!と思いながら歩き出すと一軒のお店が目に入る。…あ、極楽満月に雰囲気が似てる…薬屋さんかな?と思っているといつの間にか隣にいたはずのベポさんがいない。キャプテンもいない。






………あれ、はぐれちゃいました?と固まってしまったわたしの肩を急に誰かが叩く。ベポさん?キャプテン?と思い振り向くとそこには帽子を被った上半身裸の見知らぬお兄さんが立っていました。








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