俺と槙島の四日間(仮)

□一日目・昼
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ノナタワーで繰り広げられた槙島との戦闘に敗れ意識を失っていた狡噛は、ゆっくりと目を開いた。


「ここは……」

「僕の隠れ家だよ」

「槙島っ……!」


見上げると、自分が横たえられているベッドの隣で、椅子に腰掛け微笑む槙島と目が合った。

拘束らしきものはされていないことを確認し、飛び退いた狡噛だが、槙島の反対側のスペースは空白。

何故か上手く受け身が取れず、狡噛は無様にも背中から落ちてしまった。

そんな狡噛にくすりと笑い、槙島は優雅に立ち上がり、ベッドを迂回して狡噛に近づいてきた。

立ち上がり、槙島から距離を取ろうとする狡噛だが、身体が上手く動かない。


(クソッ、薬物か!)


気絶している間に、何か嗅がされたか飲まされたか。

とにかく、身体が鉛のように重い。

飛び退こうとして失敗したのはそのせいだろう。

拘束されていない理由も、それならうなずける。


床に四肢を投げ出したまま、槙島を睨み付ける狡噛。

そんな狡噛を嘲笑うかのように、槙島はマウントポジション取った。


「そう怖い顔をするなよ、狡噛。これから一緒に暮らすんだから」

「どういうことだ!」

「本当は、システムに頼ったこの社会を壊したかったんだがね。今はもう、どうでも良いんだ」

「どうでも良い……?」


槙島の真意を探ろうとする狡噛だが、彼の手が頬を這ったことで思考を中断してしまう。

槙島は、とろけるような表情で続けた。


「僕はここで、君と二人で静かに余生を過ごすことにしたんだ」

「はぁ!?」


思ってもみなかった言葉に、思わず大声を上げてしまう狡噛。

一方槙島は、頬をうっすらと染めて笑う。


「公安局に戻ったとしても、君は一生使い捨ての猟犬だ。人間としての扱いなど望めないだろう。しかし僕なら、君を一人の人間として尊重するよ。どうだい? 大人しくここで僕と暮らす方が良いと思わないか」

「ふざけるな! 俺はお前を殺したいんだ……!」


槙島さえ殺せるのならば、狡噛は一生猟犬でも構わない。

隙があれば、いつでも殺してみせる。

しかし槙島は、狡噛の殺気など物ともせずに微笑んだ。


「君の懐柔には、時間がかかりそうだな。とりあえず、今日のところは僕と楽しいことをしようか、狡噛」


そう言って槙島は、己の唇を狡噛のそれに重ね合わせた。

そっと触れるだけのキスをして離れた槙島は、うっとりと微笑んで囁く。


「この続きは、今夜にでも」


こうして、狡噛の屈辱に塗れた捕虜生活が幕を開けた。






To be continue.
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