贈り物

□本当は…
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SIDE:クリア・ブロッサム

『っ…ロイの…ばかぁっ!!!!!!
大っ嫌い!!!!!!!!』

やっちゃった…
ロイの顔に思いっきりビンタして部屋を飛び出してから後悔した
でも戻るに戻れなくて今私は司令部の中庭にある木にもたれ掛かってる
ここは落ち着きたいときや自分の考えをまとめたいときによく来るの

とりあえず謝る前に一度頭を冷やそう
じゃなきゃまたロイに酷いこと言っちゃう…

ごめんねロイ…
本当は全然嫌いじゃないんだよ
それに思いっきり叩いちゃってごめんなさい…
すごく痛かったよね
錬金術は使ってなかったけどかなり本気で叩いちゃったから…

あー…何してるのかな私…
怪我をした左腕に触れると熱を持ったようにズキズキと痛む
まるで私の心と同調してるかのように…

「はぁ…」

「大丈夫?クリアちゃん…」

「っ!!リザ姉!?」

何度めかわからないため息をついていたらリザ姉が声をかけてきた

そういえばハボはロイの執務室に帰ってたし、私達もかなり大きな声で言い合ってたから大体のことは知ってるのか…

「…うん、心配かけてごめんなさい」

「……隣、いいかしら」

「うん」

とさっと隣に座り込むリザ姉
そして少しの沈黙

「…リザね…」

「ねぇ、クリアちゃん」

声を発しようとしたら逆に呼び掛けられた
のぞきこむように自分を見る鳶色の目

「なんで、こんなに危ないことをするの?
最近この辺り物騒だっていうのは知ってるでしょ?
貴方は将軍だから巡回に行かなくてもいい立場なのよ?」

「………」

言葉に、つまる
確かに私は馬鹿だ
行かなくてもいい巡回に行って勝手に怪我をして…

「責めている訳じゃないの
ただ…理由を教えて?」

「……役に立ちたいから……」

「え?」

「ロイの…役に立ちたいから」

「大佐の…?」

不思議そうな顔をするリザ姉
でも、これが私の本音なの

「軍において女っていうのは少なからず立場が弱いでしょ?
だからロイの役に立てるようになりたいの」

「そんなことしたくても貴方の実力は広く認められているわ」

「¨ここ¨ではね
でも他のところがこの東方司令部と同じとは限らないもん
ロイが目指してるのはこの国のトップ
そして私はロイがトップになる手伝いをしたいの
だから私はもっと頑張らなくちゃいけないの
ロイが夢を叶えるその日まで…」

でも、こんなことで怪我してちゃ意味ないよね、と自嘲気味に笑ってみせる

「そんなことな…「クリア!!!!!!!!」


いきなり空から自分を呼ぶ声が聞こえた
その声につられるようにして空を見上げる
そして

「なっ…!!」


言葉を失った
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