贈り物

□僕の方が!! その後
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真っ昼間のレストラン
そこには公園での大乱闘のあと、突き刺さる視線もものともせずに帰還した少女二人が仲良く食事をしていた

勿論、二人の喧嘩の理由となった某国軍大佐は放置してきた

「うまいなーここの店
あ、遠慮はしないぜ?」

「勿論、たくさん食べていいよ
エリオは軽すぎ」

「食っても増えん」

そう言いながらエリオは大きく切った分厚い肉にブスッとフォークを刺して口に運ぶ
クリアはもうあらかた済んだのか、パフェを幸せそうに頬張っていた

「……でさー」

「あー…聞きたいことは大体わかる
私の体のこと知りたいんでしょ?」

「その言い方なんかエロいな」

「ど、どこが!!
…ま、それはおいといて、何が聞きたい?
私に言えることだったら言うよ」

「いいんか?言って」

「ま、エリオはロイに言わないだろうし
それに…
人間が知ったところでなにもできないし?」

ニヤリと笑うクリアにエリオの肌がざわつく
恐怖というわけではないが、クリアが纏う空気が先程までとは異なることがひしひしと伝わった

「わー黒い笑み(笑)
じゃ、最初の質問
僕のこと殺す?」

「さあ?」

はぁ?と声を出すエリオにクリアがパフェ用の長いスプーンをもてあそびながら答える

「今は殺すつもりはない
なーんのメリットもないしね
そもそも、私エリオのこと気に入ったから♪」

「そりゃどーも
…大佐は?」

「同じ
殺す気もなければ予定もない
ただ…」

ピッとスプーンをエリオに向け、クリアが黒笑を浮かべる

「父上がそれを望むなら、ね」

パキンっという音が空気を震わす
クリアに握られていたスプーンは粉々になっていた

「怖い怖い
つーか片手で金属粉砕すんなよー
そもそも器物破損だぜーだぜだぜー」

「な、直すし!!」

エリオの言葉にクリアが少しだけ慌てて腕を差し出す

手首にはめられた錬成陣が光り、スプーンが直る

「ま、私はあいつらと違って無意味な殺しはしないから」

そう呟いたクリアの言葉が聞こえたのか、聞こえていなかったのか、エリオが食事の終了の合図にフォークとナイフを置く

「ごちそーさん」

「はいはい
なんか、結構シリアスな話してたんだけどなー」

「そんなの知るかい
僕は僕の家族が幸せならそれでいいし」

「…そっか
家族は…大切にしなよ」

そして少し暗くなってしまった雰囲気を明るくするため、クリアが今さっき直したばかりのスプーンでパフェのフルーツやらクリームやらアイスを器用にすくいとって差し出す

それにエリオはなんの疑いもなくパクついた


彼女の腰につけているボールの中で彼女の¨家族¨が必死にやめさせようとしているのにも気づかずに…

モギュモギュモ…

「?
どうしたの?止まっちゃって…
あ!!もしかして甘いのムリ!?」

うつむいてしまったエリオにクリアが慌てて話しかける
しかし、再び見せたエリオの表情はクリアが予想していたものとはかなり異なっていた







「うふふ〜
あまぁいのおいひぃ〜♪」

「ええ!?
エリオ!?」

「もっとぉ〜」

「いやいや!?
もっと、じゃなくてどうしたの!?」

「もっとぉぉぉぉ!!」

ガッシャァァァン!!

「わーっ!!
エリオ、暴れないで!!
落ち着こう、
ね?」

「うるへー!!
その童顔で上目遣いとかエロいんだよ!!」

「え、エロいエロいってさっきから何回言ってんの!!」

「え?
えーと…いち、にぃ…」

「数えなくていい!!」



その数時間後、やっとおとなしく眠ったエリオを膝枕しながらクリアは呟いた



「ロイも…苦労してるんだね…」
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