贈り物

□本当は…
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SIDE:ジャン・ハボック

「ふざけるな大馬鹿者っ!!」

東方司令部の一室から男の怒鳴り声が聞こえる

普段は聞きなれない上官の大声に少なからず驚く俺たち
…ってのんびりしてる場合じゃねぇ
どうすりゃいいんだよこれ…

「ふざけてるのはそっちでしょ!?
私だって軍人なの!!このくらいなんともない!!」

「巡回で大怪我して帰ってくようなやつが何を言う!!
お前は巡回すらまともにできないのか!!」

「だからこのくらいなんともないって言ってるでしょ!?
人の言ってることすらまともに聞けないあんたに言われたくないっ!!」

あー…っと…
まずこの状況を説明しておこう
ついさっきクリアと俺が町に巡回に行ってたんだ
そしたらいきなりテロリストがわいてきて(まさにこの表現が正しい)暴れだしたんだよ
ちょうどそこに居合わせた俺たちが押さえ込んだまではよかったんだが…
テロリストの一人が持ってた隠しナイフで子供を切り殺そうとして、クリアがそれをかばったんだ

さすがというかなんというか、致命傷にはならなかったけど傷はかなり深めだ
左腕の肘から肩にかけてと、その延長上の頬をざっくり切られてる
腕は包帯に血が滲んでいて痛そうだ

まぁこういう前置きがあってこの喧嘩は起きた
喧嘩…って言うよりもっと怖い
二人とも結構マジでキレてる
現に二人はクリアの執務室にいて、俺たちは一階下の階の大佐の執務室(兼俺たちの仕事部屋)から出れねぇ
あの中尉でさえ困ったような顔をして天井を見上げてる

っあー…
これ俺のせいだよ
俺がいたのにクリア怪我したんだし
クリアは悪くない子供をかばったんだ
でも大佐の言うことも一理ある
クリアはこういうときに見境がなくなる
だから怪我をしてほしくないのも事実なんだよ…

「どうすんだよこれ…」

「俺に聞くな…」

「どっちかが折れるまで待つしかないでしょう…」

「あの状況では無理でしょうね…
全く…大佐も素直に心配だって言えばいいのに」

「どどどどうしましょう〜」

あーもう
泣くなよ曹長…
俺だって泣きてぇよ
あの二人にはずっと仲良くしててもらいてぇのに俺が壊しちまったんだから…

なんとか…してぇよな…





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