贈り物

□たまにはのんびりと
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「…あとは飯でも食べに行くか」

春の陽気に包まれた通りを歩きながら一人の男が呟く
男は久々に取れた休みを外で過ごしていた

「(最近外にも出ずずっと書類と戯れてたからな
こんなのも悪くない)」

欲しかった本を買うことができ、仕事もない
加えて心地よい春の陽気
平和だなぁ
そんなことを考えながらぶらぶら歩く
そして曲がり角に差し掛かったときに…

「おわっ!!」
「んきゅっ!!」

人とぶつかった

「っすまない!!ぼーっとしていて…」

「こちらこそごめんなさい!!」

「「…ん?」」

とても聞き覚えのある声に男は顔を上げる
相手も同じだったらしく、ばっちり目が合う

「…クリア」

「ロイ!?」

驚いたまさかこんなところでクリアに会えるなんて
うわついていたテンションがさらに上がる
今なら空も飛べそうだ
いや、勿論そんなアホな真似はしないが

「そういえばクリアも今日は非番だったな」

「うん
欲しかった本があったから買ってきてたの♪」

ほら、と嬉しそうに見せてくれた紙袋のなかにはそりゃもう驚くほど大量の本が入っていた

「…凄い量だな
一体何冊買ったんだ」

「え〜と…
錬金術関係の本が11冊であとは銃のカタログとか小説とか…」

「…そんなだからお前の家は書庫だらけになるんだ」

「欲しくなってつい…」

二人して和やかに話をしているが、周りの視線がかなり痛い
そういえば地面に座り込んだままだったな…

立ち上がり、服についた埃を払いながら目の前の少女を眺める
休日でしか見れないクリアの下ろした髮
小さな体が動くたびにさらさらと舞う黒い髮が光を反射し、輝いていてとても綺麗だ
服装はいつもの通りで少年のようなラフな格好だ
偶にはミニスカをはいてほしいな…
いやいやそんなことしたらクリアに虫がよってくる!!

そんなことを考えていたらクリアの腹がなった

「…おなか減った…」

「そこは普通顔を赤くしたり言い訳をするところだろう」

「ロイしか聞いてないんだからいいじゃん」

「ぷっ…」

えっへん、と誇らしげに言われて思わず吹き出す

「っ!!笑うなー!!」

「くっくっく…わ、悪い」

顔を赤くして見上げてくるクリアの頭をポンポンと軽くたたく

「…そうだ、私も飯まだだから食べに行くか?」

「本当!?じゃあロイのおごり♪」

「んなっ!!お前の方が給料いいだろ!!」

「そんなの関係ありませーん♪」

仕事中とは違う自然な笑顔
惚れた弱みなのか、その笑顔には弱い

「全く…じゃあ最近できたカフェにでもいくか?」

「うん!!」

…む、これだとまるでデートだな

そんなことを考え、年甲斐もなく少し嬉しくなった







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