贈り物

□流れ星に願いを…
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私の名前はロイ・マスタング
地位は大佐で「焔の錬金術師」だ

今私は…

「ろい〜おんぶ〜」

この腕にまとわりついてくる酔っぱらいの相手をしている

酔っぱらいこと国軍少将殿と私は今豪華な屋敷のバルコニーにいる

今日は中央のアーチャー中将のパーティーに呼ばれたクリアの護衛のためにここに来たのだが…

「…来て正解だったな」

護衛というのはクリアに着いてくる理由をでっち上げたもので、実際はクリアに悪い虫がつかないようにするためだ
そのクリアは今私とベンチに座ってキャラキャラ笑っている
クリアはもう酒が飲める年齢だが、あまり強くなく、飲みすぎるとふらふらになる

あまり自分から呑むようなことはしないから大方中将に飲まされたのだろう
普段なら向かうところ敵無しの強さを誇るクリアだが酒が入るとふつうの少女と変わらない

「全く…」

あの変態はクリアに酒を飲ませて何をするつもりだったんだ…?
場合によっては消し炭に…

「ろい〜」

腕にすりよってくる少女の可愛らしい声に危ない思考を中断する
本人はまっったく自覚していないが、クリアはかなりモテる

この間巡回中に
「クリアちゃんのお婿さんになる〜」
とか言ってる5歳ほどの子どもがいたし、今回は御年50ほどのアーチャーだ

「クリア…お前ももう少し自覚したらどうだ?」

そういいながらクリアの頭を撫でると
ふにゃりと笑い、さらにぎゅうと抱きついてくる

「勘弁してくれ…」

自分だって男だ
好きな少女にこんなことをされるのはいささかまずいものがある
それに自分と相手はそのような関係ではない

いっそ伝えてしまえばいいのかもしれないが、拒否されるのが怖かった
それに優しいクリアのことだ
悩んで辛い思いをするかもしれない

そんなことになってしまうくらいなら伝えない方がお互いのためだ

静かに寝息をたて始めたクリアにスーツの上着を掛けてやる

好きだからこそ大切にしたい
だから言わない

それが自分の選んだ答えだ
不満が無いわけではない

でもクリアには辛そうな顔より幸せそうな顔をしていてほしい

だから今はこのままの関係、ただの¨親友¨でいい

「まるで子供だな…」

それでも


「クリア、





君のそばに居させてくれ」


それだけで自分は救われるから


犯してしまった罪は消えない


それでもこの小さな少女のおかげで自分は前に進むことができるから…



「君を…愛している」



伝わることのない思いを口にする
明日になればまた¨親友¨となってしまう
だから今のこのつかの間の幸せができるだけ長く続くように




流れ星に願いを込めて…
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