頂き物

□時雨様からの頂き物
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突然だけど、カルトという子はどうも天然 のようだわ。サナにあんなに惚れられている のに全く気づかないし。 いわゆる鈍感。サナが奥手だというのもあ るけれど、どうもあの子たちのやりとりを見 ているとヤキモキするわ。

つまり、今の私が困っているのはカルトの せいなのよね。全く、若いのは良いことだけ れど……年上を困らせるのには感心しない。 ラッキーこと私、ラキは、サナに恋愛相談 を受けている。現在進行形で。

『あの、ラキさん。その、相談が……あるの ですが』 『ん? 何?』 『その、私の友のことなんですけど、いや私 のことではないんですよ!』つまり、あなた のことなのね。 『うん』 『それで……その友は、とあるポケモンに恋 しまして……でも、なかなか思いを告げるこ とができなくて、ですね……。そしてその… …あの、友達としか扱われなくて……一線超 えられないというか……』

どんどん顔を赤らめながら、声も小さくし ていく目の前の淑女を、私はどう扱えば良い のかしら。

何よこの「青春してます」って感じの子。 あなた青春は大人になってするものじゃない のよ分かってる? とは言えず、綺麗な顔立ちを隠して恥ずか しがるこの子を眺める。 ……純粋よねぇ。ちょっとイライラ。

『それで、あの……どうしたら良いと、思い ます?』 『好きだって言えば?』 『だ、だからそれを伝えられなくて……』 『異性として認識されてないんじゃないの? 』 『えっ……』

その瞬間、サナの顔が凍りついた。背後に 「ガビーン!」と極太マジックで殴り書きさ れたような効果音を記載して。

『まぁ、あんたに限ってそんなことはないで しょうけど』というか冗談だ。 『わ、私じゃなくて友……』 『はいはい』嘘つくの下手な癖に。私でも分 かるわよ。 『……うぅ』 『じゃあ、手作りのものでもプレゼントした ら? 女子力アピール』 『手作り……?』 『そうよ。例えば、お菓子とか』 『お菓子……ですか。分かりました! あり がとう、ございます!』

ぱぁっと顔を輝かせ、嬉々として去ってい くサナ。振り返らず足取りが踊っている。 ……若いって良いわねぇ。

はぁ、とため息をついた。
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