風に舞う花
□せんせい
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「そういえばそっちにスカー出たらしいじゃん」
「そういえばそんなやついたね
…人間にしてはなかなか強かったよ」
「何?怪我でもしたの?」
「まさか
私が人間ごときに遅れをとるとでも?」
「わ〜怖い恐い」
グチャグチャバリバリと人間¨だった¨ものが壊れていく音を聞きながらティアとエンヴィーが話す
「らすとーごちそうさまー」
「口の周りを拭きなさい、グラトニー」
気分の悪くなるような音がやみ、爆音が代わりに主張をはじめる
少しの静寂のあと、ティアが「そういえば」と切り出す
「ここの少し前の村にドクター・マルコーがいた」
「マルコーが?」
「へぇ…死んでなかったんだね
ラストもうここの見張り終わるでしょ
行ける?」
「えぇ、平気よ」
「じゃ、よろしく」
「もーティア帰るの?」
「仕事」
「ハイハイ…
そういえば、¨焔の大佐¨どんな感じ?」
¨焔の大佐¨
その言葉が出たとたん、少女の動きが止まる
「…質問の意図がわからないんだけど」
後ろを向いたままクリアが言う
「そのまんま
¨人柱¨としてどんな感じ?」
「…錬金術師としての腕は凄いよ
あれなら真理を見ても帰ってこれると思う」
「そっか
じゃ、そいつが変なことしないように見張ってて
…殺すのは惜しいからね」
「………」
クリアが無言で歩き出す
パタンと扉が閉まり、足音が遠ざかったところでラストが口を開いた
「あの子、かなり¨焔の大佐¨気に入ってるみたいだけど仕事出来るのかしら」
「へーきでしょ」
エンヴィーが、嗤う
「あいつが¨石¨を持っている限り…」
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