長編小説
□一章・悪魔四天王襲来
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「あ、俺ガム持ってる」
「与作よ、それは腹の足しにもならないぞ」
「しかもカロリーゼロだぜ!」
唯一の食料、それはガム。
俺達冒険者一行は、食料を求めて洞窟内をぶらぶらしていた。
なんか、ドラゴンも付いてきた。
戦闘能力無限大パーティの出来上がりだ。
このドラゴンが戦う所とか見たことないけど、何か強そうだし間違いない。
スライムとか食えるかな?とか千田とダベりながら食べられるものを探してるんだけど、右も左も岩ばっかりで、モンスターも現れないしで俺はちょっと飽きてきた。
「あー・・・なんか餃子食いてー」
「与作、危険な想像はやめるんだ」
「あー・・・あと半チャンつけてくれよ」
「俺は味噌ラーメン大盛りな」
「食べ盛りだな千田」
俺達はお腹をグーグー言わせながらも、まるで鷹の様に鋭く鋭敏に食料を探していた。
「唯一の食料がドラゴンとかなーツレー」
「まだ食う気満々なんだな、与作」
「てかさ、ドラゴンの名前考えね?」
「ん?・・・そうだな。犬に対して犬って呼ぶのと同じか。それはちょっと可哀想だな」
「まじで」
「マジで」
時々、甲冑姿のドラゴンが 「まじで」で会話に入ってくる。
すげえ自然に会話が成り立ってるような気がする。
で、俺が 「マジで」って返してやると、すげえ微妙な顔をする。
やべえ、こいつの 「マジで」ってマジどんな意味なのか気になって今夜は寝れそうにないぜ。
「俺は、ヴァイスが良いと思う」
「千田、ちょっとアレ入ってるぞ」
何か響きがクサくてカッケー
さてはお前、まだ中二を卒業できてねえな。
「でも、こいつのビジュアル的にヴァイスとか似合うだろ?」
ちらっと千田がドラゴン甲冑男を見上げると、ドラゴン甲冑男が超嬉しそうにして千田の頭をガシリと掴んでグリッグリ顔を埋めまくってる。すげえ嬉しそうにグリッグリしてる。
やべえ、超手なずけてるじゃん・・・
あれか?千田は猛獣使い的なポジションなのか?
「めっちゃしっくり来るな、バイス」
「バイスじゃない、ヴァイス、だ」
「バイス」
「違う。ヴァ、だ」
「ブワ」
「違う。もっとこう・・・ヴァ!」
「ブア」
「惜しい。がんばれ与作、ヴァ!」
何か突然、千田主催の発音講座になった。
俺は一生懸命、ネイティブっぽい千田の発音を真似ようとしてるけど、なんか舌がおかしくなって結局ネイティブ発音できなかった。
「・・・与作、やっぱヴァイスはやめよう」
「え?何?バイス超カッケーじゃん?」
「ダメだ。お前が発音できない名前なんて、付ける意味がない」
「・・・・千田・・・」
「・・・・与作・・・」
「千田マジくせえ」
「うるさい与作、さっさとこいつの名前ひねり出せ」
ドラゴン甲冑男の名前は 「シロ」になった。
犬っぽくて可愛いと、千田も大絶賛だ。
シロも何か千田に「シロシロ」言われてまんざらではなさそうだった。
やべえ、シロの千田に対するダチオーラがマジヤベエ。