長編小説
□プロローグ・弱点はツノ
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「アバババババ!! せ、せ、せんだっ千田ー!!助けてー!!千田あああああ!!!!」
分からないときは助けを呼ぼうねって、お母さんが言ってた。
目の前のトカゲがグググっと、長い首を俺のほうへと寄せてくる。
息が・・・・トカゲの息がまるで突風のようだ。
金色のちっさい瞳がすいっと細められる。
迫る、トカゲの、顔!!
迫る、俺の命の、危機!!!!!
「や、やめっごめんすいませんもうしわけございませんゆるして、俺食べても不味いよぜったい不味いホントマジで許してつかーさい・・・・・」
俺は、抜けてしまった腰のせいで身動きが全く取れない。
必死にでっかいトカゲから逃げようとしても足が震えすぎて後ろに進めない。
そして、グイグイよってくるトカゲ。
デカイ顔のウロコが、一枚一枚よく見える距離。
もう、トカゲの鼻息で俺の短い髪がぶわっさぶわっさ揺れまくってる。
俺のハートも史上最高潮で鳴り響きまくっている。
「せんだああああうわー!おかあさーーーー」
「うるさい与作、うるさい」
うるさいを二度いいながらも、低い声が俺のすぐ後ろから聞こえてきた。
それと同時に、脇の下から力強い腕がガシっと入れられ、ズルズル後ろに引っ張られる。
「せ、せせせせんんだ!!と、トカゲがやばいまじ近いやばい走れ俺を抱えて全速力で走れ今すぐうわああああよるなよるなよるなひわああああ」
「うるさい、ほんと与作うるさい落ち着けよ」
ずるずると冷たい地面を引きずられる俺。
俺を引っ張る腕の持ち主は、俺の友達、千田 華月(せんだ かづき)高校の同級生だ。
何をやってもクールで、俺が全力の力で笑わせようとしても 「フッ」とかしか笑わないボケ殺しの千田だ。
雰囲気がちょっと怖いけど、話してみると普通でなんか面倒見が良い千田だ。
そして、なんかピンチ時に呼んだらやってきた男、それが千田だ。
『クルルルルル・・・・』
「うわああああああトカゲが鳴いたあああああああ!!!???すげええええええ!!」
「イモリも鳴くぞ?」
「マジでええええええええ!!!!???」
そして、俺は何故か下校途中にスゲーナイスバディの姉ちゃんがすぐ横を通り過ぎて、そのナイスボインに夢中になってガン見しながら歩いてたら、足首ゴキってやって「こける!!美人の姉ちゃんの前で!」と思ったらなぜか、薄暗い洞窟にいて、でっかいトカゲに襲われそうになっていた男、 松島 与作 (まつしま よさく) だ!!!
木を切る〜♪ とかでお馴染みの与作だ!
そして、目の前のトカゲは、鳴いたのだ!!!
すげえな爬虫類!!!!