All NIght Long

□chapter7
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マダム・ポンフリーは少しばかり大げさに対処したがるところがあるけれども、根掘り葉掘り何があったのか聞かないところがとてもいい。

しかし歩行用の松葉杖を渡され、包帯をグルグルに巻かれた足をベッドに腰掛けブラブラさせている現在のノーラにはマクゴナガルがいた。

治療が終わるや否や彼女の前にまるで仁王像のように立ち尽くして、納得のゆく答えを得るまでは梃子でも動かないという様子である。

生徒の安全を図ることがグリフィンドール寮監としての正しいあり方なのかもしれないが、やらなければならないことのある今のノーラにとっては少しばかり有りがた迷惑なことだ。

日頃他の寮を羨むことなどほとんどない彼女であるが、フリットウィックやスプラウトならばこんなに強く言及はされまいな、といつの間にやらすっかりいつも通りなマクゴナガルの厳しい顔を見つめた。


「スネイプ先生にいったい何をしたというのです、ミス・レッドフォード」

「廊下を走ったので角でぶつかったってしまって…だから、私が悪いんです」


本当に迂闊だった。しかし減点も罰則もされることはなかったし、落ち着いて考えてみれば、教師がまさか生徒を殺すなんてこともあり得ないだろう。

むしろ少しきつめの脅しをかけられたくらいで済んでラッキーだったのかもしれない。もっとも、マクゴナガルはそうは思えないようだったが。


「かと言ってあなたに先生を引き殺すような力があったわけじゃないでしょう……このことは校長先生にもお伝えしておきます」

「校長先生が帰ってらっしゃるんですか!」


身を乗り出して聞き返したノーラをマクゴナガルが訝しげに見つめる。

四角いメガネの端がキラリと光った気がした。


「いいえ。まだですが、何かおっしゃりたいことがあるのなら私が先生に伝えておきますよ」


少しだけたじろいだ彼女は何か言いかける様に口を少し開閉させたが、まるで目の前の寮監の真似でもするように唇を横一文字に引き伸ばしただけだった。

自分の身は自分で守る。昨夜の決意を忘れたわけではない。

それに気分が悪い生徒がいるから、とどこかへ引っ込んでいたはずのマダム・ポンフリーが、用事が済んだのならさっさと出て行くよう急き立てはじめたのだ。


「じゃあ、あの……私は部屋に帰ります」

「……いいでしょう、今度は気を付けて帰りなさい―――ミス・レッドフォード」


ありがとうございました、と挨拶をして医務室を出ていきかけたノーラを少しだけ慌てたように呼び止めたマクゴナガルだったが、戸惑っているところを見るとなにか言いにくいことらしい。

しかしついには言う決心を固めたようだ。


「私は貴女がテストでカンニングをしたなどというバカバカしい話は信じていませんよ」


引き留めておいて早く出ていくよう急かしたのは、思ったよりも連れてこられた病人が重傷だったからか、はたまた単純に照れていたのか。

知り得ることはなかったが、厳格な寮監の思わぬ一言は少なくとも落ち込みかけていたノーラの気持ちを少しだけ軽くしてくれた。




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