All NIght Long

□chapter6
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決して勉強は好きじゃあないけれど夜遅くまで友人が一緒についてくれる、と思うことは今のノーラにとってはとても気が楽な事だった。

怖い夢を見るだなんて子供じみたこと口が裂けたって誰にも言うことは出来ないが、あの夢を見るくらいなら眠りたくないとさえ彼女は思っていたのだ。

何が起こるわけでもないのにこんなに怯えるのは異常だ、と少し自分でも感じている。


「―――もうっ!ノーラったら、聞いてるの?」

「あっ……ご、ごめん」


そんなことじゃスネイプの思う壺よ、と戒めるハーマイオニーの後ろでナイトキャップをかぶったエリザベスが大あくびをした。


「あんたたちもういい加減にしなさいよ。いったい何時だと思っているの」

「――1時だわ」

「わかってるなら部屋に帰んなさいよ、勉強なんて明日もできるでしょ。私もセレスティノに餌をあげたら寝るわ、夜更かしはお肌に悪いし」

「……セレスティノ?」


不思議そうに首を傾げたハーマイオニーについうつってしまった欠伸をかみ殺しながらノーラが説明をする。


「彼女のペット、大イグアナなの」


聞かなきゃよかったとハーマイオニーは眉をひそめたが、ノーラはもう慣れっこだ。


「案外大丈夫なものよ。大人しいし、ただ……」


ちょっと生臭いけど、と言いかけて彼女はハッと息を呑む。


「……リズ、あなたのペット夜中に檻から抜け出してる、なんてそんなことないわよね」

「あるわけないでしょ、鍵をかけた上に布まで被せてるのよ。いくらセレスティノが賢いからってあり得ないわ」


そうよねえ、と頷いたノーラは自分で建てた一つの仮説に思わず身震いをした。そんなわけがないと思いたい。


「そういえばあなたのロレンツィーナは?」

「ああ……なんだか子供たちと一緒にいたいみたいだから今夜は談話室の方で寝かせてあげることにしたの」


じゃあまた明日、と手を振るハーマイオニーを引き留めたい気持ちがないわけでもなかったが、かといって一緒に朝まで起きていてもらうというわけにもいかない。

ベッドに入ったノーラは横になってじっと目を開けたまま朝を待つつもりだった。

もっとも30分、と経たないうちにその意志に反してまぶたは何度もぶつかり合うようになり、微睡は彼女を意識の外へ外へと追いやろうとする。

その日最後にノーラが思い浮かべたのは今朝方ブラッジャーを追い払ってくれた時のスネイプの顔だった。

なぜかとても不安げな表情を浮かべているような気がしたが、きっとそれは眠けが見せた錯覚に違いない。

彼は彼女を嫌っても心配するようなことは決してないのだから。




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