本棚

□神様になんて祈るだけムダ
2ページ/8ページ

昼飯の支度をしながら終わった洗濯物を干す。食材は昨日たっぷり買ったのでメニューを考えるのが楽だった。ご飯、ジャガイモと玉ねぎの味噌汁、ブリの照り焼きにほうれん草のおひたし、きゅうりの漬け物。料理は得意だ。マズいの食べるの嫌だし。あたしが昼飯を作っている間に暁緒にはがきんちょ共にこの世界での常識講座を開いてもらっている。

『昼飯にすんぞー。』

出来上がったものをリビングに運びながら声をかけるとバタバタと寄ってくるがきんちょが3人。サッチだけはゆっくりとした足どりで近づいてきた。

『どんだけ食べるか分かんねーから米は自分で分けにこい。』

リビングの机におかずと味噌汁を用意しながらキッチンへ向かうがきんちょ共に伝える。

「沙羅!!釜がない!!」

キッチンから梵天丸の声がする。そうだ、いろいろ勝手が違うんだよ。キッチンに向かい台所用品の説明を軽くする。冷蔵庫とか電子レンジとかな。

『で、米はここ。炊飯器で炊かれてるから自分が食べる分だけ分けろ。』

順番に茶碗によそってリビングに持って行かせる。あたしも自分と暁緒の分をよそい、リビングに向かった。

『よし、食え!!』

「「「「いただきます(よぃ)!!」」」」

食事の前と後の挨拶は暁緒が教えてくれていた。流石、しっかりしてるわ。おかずは一品一品きちんと分けたので食卓が戦場になることはない。箸はツラいだろうエース、マルコ、サッチにはフォークを用意してやっていた。フォークで和食ってシュールな光景だな。

『飯食い終わったら勉強会な。とりあえずこっちの世界の文字を教える。』

「誰が?」

『あたしが直々に教えてやるよ。とりあえず今日は平仮名、カタカナをマスターしてもらう。暁緒はその間にシャワー浴びてちょっと休んでこい。』

「分かりました。ですが沙羅が教えるんですね。」

『おー。みっちりしっかり仕込んでやるよ。』

「そうですか…。4人共頑張って下さいね。」

あ、笑顔で見捨てたよコイツ。めっちゃ良い笑顔で切り捨てた。でも暁緒も疲れてるだろうし今夜は約束の月見酒。夜も遅くなるし、ご機嫌取りの為にも今のうちに休んでもらったほうが良い。
それに暁緒は目が見えないから視力のないコイツに字は読めないし教えられない。普段の行動が余りにも自然すぎて気付かないヤツのが多いんだ。がきんちょ共も気付いてないだろう。でもわざわざ教える必要はない。その判断はあたしじゃなく暁緒がするものだ。


食事を終え、片付けを済ませたあたしはがきんちょ共に文字を教えるのだった。サッチは思った通り飲み込みが早かった、異常なくらいに。次はコイツか。ある意味一番難しそうだな。サッチ攻略の方法を考えながらあたしは他3人に激を飛ばすのだった。


(今からテストします。合格しなかったヤツは合格するまで勉強。合格したら好きな事して良し。あたしの判断によりアイアンクローの可能性もあるから死ぬ気でやれよ。)
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ