戦国KISEKI
□第弐話
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―江戸城―
「征ちゃん、敦君来たわよ。」
「赤ちんやっほー。」
「…お前達は普通に人の名前を呼ぶ事が出来ないのか。」
部屋に現れた実渕と紫原に、赤司は呆れ顔で言った。
しかし2人ともきょとんとして赤司を見つめる。
「征ちゃんのどこが普通じゃないのよ。」
「赤ちんだって普通だよ。」
もう彼らには何を言っても無駄だと判断し、赤司は溜息を吐いた。
「…もういい。」
「まーまー、お土産持ってきたから許して。ほら、」
そう言って紫原はさっき買ってきたばかりの団子を差し出す。
「…あら、お団子?じゃあお茶を淹れてくるわね。」
実渕はその袋を受け取ってお茶の用意をしに行った。
2人になったところで、赤司が本題に移ろうとする。
「先日は留守にしていてすまなかったな。」
「いや、いいけど…ちょっとびっくりした。赤ちんも遊廓とか行くんだね。」
「初めて連れて行かれた時に二度と行くかと思ったんだが…この間の訪問は本当に有意義だったよ。」
「あ、知ってる。女の子連れて帰っちゃったんでしょ?城下町でも噂になってるよ。」
「そうなのか。まぁいい、今のところ文句は来ていないからな……大奥以外からは。」
(大奥からは来るんだ…怖いな〜…)
忌々しそうに言う赤司に、紫原は同情の目を向けた。
「じゃあ、今度の仕事は彼女の護衛とか?」
しかしその問いには赤司は首を振る。
「いや、歩兵を少し強化しようと思ってね。それで、しばらくお前に教官を頼みたい。」
全く想像していなかった依頼に、紫原は目をぱちくりとさせた。
「え、オレ指揮とか出来ないけど…」
「そんな事はしなくていい。手合わせして、必要ないと思った奴は辞めさせろ。逆に力のある奴は鍛えてやってくれ。今日も志願者が1人来ると聞いている。早速力試しを…」
赤司が言い掛けたその時、
「頼もー!!」
城の外で大声が響く。
それは、明らかに女の声だった。
「…志願者って…女の子なの?」
「いや、聞いていたのは男1人だ。」
妙な事が起こっているのには違いないので、赤司は紫原と一緒に下に降りる事にした。
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