蒼き薔薇が散る時

□その執事 回想そして追想
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セバスチャンと和成は上着を脱いだ。
それを、

ばふっ

シ「!?」
「わっ!」

シエルと時雨に被せた。

シ「なにっ…」
セ「あまりお体を冷やされませんように。
町屋敷に戻ったらホットミルクをお淹れ致しましょう。もちろん時雨様にも」
和「お好みなら蜂蜜かブランデーを入れて甘みをつけたものをな」
「…うん」

シエルと時雨は被せられたものを握った。

セ「和成、援護をお願いします」
和「あいよ」

セバスチャンと和成がそういうと、

グ「ア―――ラ、そんな簡単に帰してあげないわヨ」

グレルは死神の鎌のスイッチを入れた。

グ「死神の鎌もアタシも最近手ごたえのない獲物ばっかりで欲求不満なの…よッ」
和「時雨!シエル様と横によけろ!」
「シエルこっち!」

グレルが飛ぶのと同時に和成が反応し時雨に指示を出した。
時雨はシエルの腕をつかむとよけた。
セバスチャンと和成、シエルと時雨の間には亀裂が入った。

グ「アタシは追われるより追う方が好きヨ、セバスちゃん!
ステキな鬼ごっこをしましょ!!」

グレルはセバスチャンに向かって行った。

セ「気持ち悪い事を言わないで下さいと申し上げたはずです
が!」
和「おっと!」

セバスチャンは後ろに避け、和成は上に飛んだ。
グレルはそのままセバスチャンの方に向かって行った。
和成は一旦時雨のところに行くと時雨の背負っていた弓を取った。

和「借りるぜ!」
「う、うん」

和成はまた上に飛んだ。
グレルはセバスチャンが引っこ抜いたガス灯を真っ二つにした。
すると切り付けられた部分から出された血がレコードになった。

和「な、んだあれ…」

それにセバスチャンと和成は目を見開いていた。

グ「――どう?ドラマチックな痛みでしょう。
今のは死神の能力「走馬灯劇場」」
和「走馬灯劇場…?」
グ「死神はお上から配られたリストの死亡予定者の記録を「走馬灯」で再生して審査するの。
どういう人間でどういう人生だったのか。
生かすべきか、殺すべきか」

セバスチャンは傷口を押さえていた。

グ「死ぬ間際に走馬灯が走るなんていうけど、それは死神はその人間の「記憶」を再生しているに過ぎない。
「コイツは死んじゃってもイイかな」って奴は…
死神の鎌で記憶も魂も身体から切り離して「おしまい」よ」
セ「只でさえ悪趣味だと思っていましたが、さらにのぞき趣味ですか…
最悪ですね」

とセバスチャンは言うが、

グ「ノンノン!お仕事よ!でも…そうね!」
和「セバスチャン左だ!」

和成は咄嗟に指示を出してグレルの攻撃からセバスチャンを避けさせた。

グ「いい男の過去ってちょっと気になるわ!」

セバスチャンが避けたその時、

和「後ろだ!!」
セ「ッ!!」

グレルはいつの間にか後ろにまわっていた。

グ「悪そうな男なら…
なおさらね!!」

バシッ

セバスチャンはとっさに受け止めた。
そのまま壁に押さえつけられたのだ。

グ「…ンフフッ
人間相手のごっこ遊びじゃ済まないわよセバスちゃん。
死神の鎌にかかれば、記憶も魂も空間も、
悪魔だって本当に切れちゃうんだから!」

死神の鎌をジワジワとセバスチャンを切ろうとしていた。
そこに、

ヒュンッ
バキッ

グ「アン?」
和「オラッ!」
グ「おっと!」

和成が遠くから鉄骨を弓を使って放ち咄嗟にセバスチャンとグレルの間に入り込み攻撃を入れたがわずかのところでよけられた。

グ「ちょっとアンタ!危ないじゃないのよ!!」
和「知るかよそんなの」
セ「助かりましたよ」

和成はグレルに向かってまた鉄骨を構えた。
そしてそのまま放った。
だが、

グ「こんなの枝同然よ!」
和「!!」

鉄骨は簡単に壊され


バキッ

和「がッ!!」
セ「和成!」

腹を蹴られた。
そしてまたセバスチャンに向かって攻撃していったのだ。





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