蒼き薔薇が散る時

□その執事 始動
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ある日の事。
時雨が報告書を片付けていたら、

コンコンッ

シ「失礼するぞ」
「シエル、どうしたの?」

シエルが入って来た。

シ「お前たちに手伝ってほしいんだ」
「何を?」
シ「これを読んでくれ」

時雨はシエルから一通の手紙を受け取った。
それは女王からのものだった。
時雨はそれに目を通すと笑顔を向けた。

「もちろん、僕に手伝えることは何でも言ってよ」
シ「そうか、それはありがたい」

そして時雨と和成はシエルとセバスチャンの手伝いのため町屋敷に向かったのだ。



英国の夏は短い。
最も気候の良い5月〜8月は「社交期」と呼ばれ、地方の貴族達ははこぞってロンドンの町屋敷へ社交に精を出す。

セ「坊ちゃんが町屋敷へいらっしゃるのは久しぶりですね」
「そうなの?」
シ「あぁ。
“あの手紙”さえなければ誰が…
人が多すぎて満足に歩けもしない」
「へぇ〜」
和「町屋敷なのに立派だなぁ…」

初めてみる時雨と和成は町屋敷の大きさに関心していた。
中に入ると屋敷ほどではないが広々としている。

セ「たまにはお屋敷を離れるのもいい気分転換かもしれませんよ」

セバスチャンは町屋敷の扉をあけながらいい3人を招きいれた。

セ「あの4人もいないことですし静かに過ごせそうじゃありませんか」

と言いながらドアを開けたが、

?「まったくこの家はドコにお茶しまってんのかしら」
?「見当たらないねぇー」

綺麗なはずがとてもごちゃごちゃしていた。
そこには1人の女性と1人の中国人と1人の執事がいた。
その光景を見た4人の後ろでは先ほどのセバスチャンの言葉が崩れる様子が目に見えている。

シ「マダム・レッド!?劉!?
何故ここに…」
マ「あらっ早かったじゃない」

シエルが名前を呼ぶと女性…マダム・レッドことアンジェリーナ・ダレスが振り向いた。
その隣の男性…劉も振り向いた。

マ「可愛い甥っ子がロンドンに来るっていうから顔を見に来てあげたんじゃない」
劉「やぁ伯爵。
我は何か面白そうなことがあると風の噂で聞いたものでね」

シエルはどこか疲れきっていた。
それを見た時雨と和成も驚いていた。

マ「あら?そちらの可愛らしい子は?」
劉「見ない顔だね」

2人は時雨の存在に気付いた。

「あ、初めまして。
水月時雨と言います。今は訳あってファントムハイヴ家にお世話になっています。
こっちは執事の和成です」
和「和成です。以後お見知りおきを」

時雨と和成がお辞儀をするとマダム・レッドが時雨の手を取った。

マ「もしかしてあなたあの水月財閥の当主!?」
「そうですけど…?」
マ「会えて光栄だわ!一度は会ってみたかったのよ!」
「えっと…」

時雨が困惑していると、

シ「マダム・レッドは王立ロンドン病院に勤務しているんだ。
だから水月財閥の事を知ってるんじゃないか?」
「あぁ!なるほど!
王立ロンドン病院ですか。たしかうちの医者が1人ぐらいいるんじゃ…」
マ「いるわよ!
もう日本人はとても器用ね!難しい手術も難なくやってしまうし、水月財閥の人間ならなおさらね!」
「ありがとうございます」

と話していると、

セ「これはこれはお客様をお迎えもせず申し訳ありません。
すぐお茶の用意を致しますので少々お待ちください」

とセバスチャンが準備を始めたのだ。





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