蒼き薔薇が散る時

□その執事 多忙
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執事の朝は早い。
夜は誰より遅く仕事を終え、朝は誰よりも早く仕事を始める。
それはどこの貴族や財閥でも共通している。

和「んー、伸びてきたか…
ま、何とかなんだろ」

和成は伸びた髪を整え使用人たちのいる所に向かった。

和「はよーっす」
セ「おはようございます和成」

すでにそこにはセバスチャン達がいてセバスチャンは使用人達に指示を出していた。

セ「和成は時雨様のお世話でよろしかったですよね」
和「おー、まぁ手伝えることは手伝うけどよ」
セ「…まぁ、必要となったら呼びます」
和「へーい」

やることが決まれば次は当主の起床に備えて必要なものと朝食の準備をする。


コンコンッ

和「失礼すんぜ」

和成はまだ暗い時雨の部屋に入るとまだ眠っている時雨の寝顔を見た。

「すぅ…すぅ…」
和「(あぁもう!!今日も可愛いな!!)」

なんてことを思いながらカーテンを開けた。

和「時雨、おはよーさん。起きる時間だぜ」
「んぅ…あ、さ」

時雨は寝起きがいい方で呼ばれればすぐ起きれるのだ。

和「今日もいい天気だぜ」
「うぅ…まぶしい…」

そんな時雨を見ながら悶えるのを何とか抑えて時雨に牛乳を渡した。
時雨は毎朝牛乳を飲んでいる。
理由は…まぁ、背を伸ばすためであろう。

和「今日の朝食は和食と洋食の2種類用意したが、どっちがいい?」
「んー…今日は和食な気分…」
和「そんじゃ今日は秋田のひとめぼれを炊いたご飯にわかめと豆腐の味噌汁、焼き鮭にホウレンソウのお浸しでいいか?」
「わー…和成の味噌汁好きー♪」

なーんてこと言えば和成の理性はどんどん削れていく。

和「(可愛いな!!もう食べちまいくらいだぜ!!)
サンキューな」

まぁ表情には出さないでいるが。

和成は時雨を着替えさせながら話をした。

和「そういや日本から手紙が来てたぜ」
「日本から?」

水月財閥は全世界でも有名な財閥で医療技術や医療機関でとても有名である。
そんな財閥の当主である時雨にも幼いころから医療の事について教えられたため知識が豊富である。

和「なんでもこんな薬できたから使えるかどうか確認してほしいって」
「もー…そういうの電話で教えてほしいよ」

なんて拗ねながら時雨は手紙を読んだ。

「…うん、これは今すぐ使えるよ。
返事よろしく」
和「あいよ」

和成は手紙を受け取るとしまった。

和「そんじゃ今日はこれやってな」

ドサッ

和成がテーブルに置いたのは大量の資料と大量報告書だった。

「げッ…」
和「あっちで溜めに溜めたんだろうな。
昨日一気に届いたぜ」
「…ここ全部に期限厳守にしないとクビって言う手紙添えといて」
和「了解」

和成は手紙をおくる宛先を書き出した。

和「なんか俺がすることはあるか?」
「そうだな…
じゃあセバスチャンも大変だと思うから手伝ってきて。
何かあったら呼ぶから」
和「おう」

和成は最後に時雨の額に契約印を隠すように包帯を巻いた。
そして時雨の部屋を出た。



和「セバスチャーン」
セ「なんですか?」

和成はセバスチャンを見つけると声をかけた。

和「時雨がセバスチャンを手伝えって言ってたから手伝いに来たぜ。
なんかない?」
セ「あぁ…時雨様はなんてお優しいのでしょうか…
どこかの坊ちゃんとは大違いですね」
和「それシエル様の前で言ってみ、怒られるぜ」
セ「では屋敷の掃除と使用人達のフォローをお願いします」
和「了解」

和成はその場を去った。




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