短編

□こっちを見ろ
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帝光中バスケ部

主将である赤司はイライラしていた。
何故なら、

黒「藍月君、お願いが…」
「ん?いいよ」

マネ兼彼氏の時雨が自分以外の女子と仲良さそうにしているなからである。

「なるほどなぁ〜
そんじゃ日曜家においで」
黒「ありがとうございます」

こんな楽しそうな顔をしている彼氏を見て赤司が嬉しいはずがない。

黄「……赤司っち、大丈夫ッスか?」
赤「涼太…あぁ、大丈夫だよ」

チームメイトの黄瀬が心配して声をかけても無理に笑うだけだった。

赤「(時雨…)」

赤司は頭からその事を取り除こうとして練習に没頭した。


――――――――――――――――――――

休みを挟んできた月曜。
この日はさらに赤司の機嫌が悪い。
理由は単純。
時雨とまだ一回も会ってないしましてや話してもない。

部活でも時雨は黒子と一緒にいてアドバイスをしている。
赤司は俯いて体育館を出た。
それを見ていた黄瀬にもついに限界がきた。



それは自主練後の体育館で起こった。
時雨が黒子と話していたその時、

グイッ

「ッ!?」
黒「き、黄瀬君!?」

黄瀬が時雨の胸ぐらを掴んだ。
騒ぎに気づいた他のキセキも駆け寄ってきた。

黄「あんた何やってんスか!?」
「り、涼太?」
黄「赤司っちがいるのになんでずっと黒子っちといるんスか!!」

これは大切な仲間思いな黄瀬のいいところなのだ。

緑「落ち着くのだよ黄瀬」
黄「うるさいッスよ!!」

今の黄瀬は周りが見えていない。
すると、

「涼太、何勘違いしてんだ?」
黄「勘違い!?何が勘違いなんスか!!」

時雨が落ち着いた声で黄瀬に問いかけた。

黄「赤司っちがいるのに赤司っちより黒子っちを優先させてるじゃないッスか!!」
「征華より優先?」

時雨が脳内を整理していると、

黒「もしかして日曜の事ですか?」
黄「それ以外に何があるんスか!?」

黄瀬が息を整えていると黒子は何かを思い出したように鞄を持ってきた。

黒「これどうぞ」
黄「?なんスかこれ」
黒「僕が作ったマフィンです。
藍月君に作り方を教わろうと日曜にお邪魔したんです」
黄「へ?」

黄瀬は間抜けな声をあげた。

「黒子さんがマフィン作りたいって言ってちょうど空いてた日曜に一緒につくったんだ」
黄「まさか…俺の勘違いッスか?」
黒「はい」

黄瀬はとたんに脱力したように座りこんだ。

青「ったく人騒がせだぜ」
緑「まったくなのだよ」
紫「それよりマフィンおいしそー」
黒「みなさんの分もありますよ」

黒子は全員に渡していった。
最後に赤司に渡す時に黒子は赤司にしか聞こえないように言った。

黒「藍月君お借りしました」
赤「……あぁ」
黒「ですが、藍月君は赤司さんしか思ってませんよ」
赤「え?」

黒子はそれだけ言うとキセキの下に戻っていった。
すると、黒子とすれ違いに時雨が赤司に近付いた。

「征華」
赤「…なんだ」
「涼太が言ったことが合ってるならさ…
嫉妬してくれたの?」
赤「…悪いか」

赤司が顔を赤くして俯くと、

ちゅっ

赤「っ/////!?」

時雨は赤司の額にキスをした。

「ヤバい…めっちゃ嬉しい…」
赤「/////」
「大好きだよ、征華」

赤司は真っ赤にしながら時雨の胸に顔を埋めた。



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