short story
□Happy birthday.
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【2007.2.22.Tomo】1/2
ベッドに横になったまま…携帯のフラップ開いて液晶を眺める。
時間は十一時五十九分。
デジタルの文字がカウントを進めて…
3、2、1…
「智。」
腕枕の主に呼ばれて顔を上げる。
「誕生日おめでとう。」
唇にキスしてくれる。
「ありがと…拓真。」
途端に手に持ってた携帯がブルブルと震えた。
「…あ。」
【Eメール受信4件】
「なに…?」
「メール…あ、みんなからだ。」
最初は柊で…良介、芹沢、春日部。
「…女子高かっつの。」
呆れた顔して拓真が苦笑いする。
そう言う自分だって…セックスを早めに止めてこうしてるくせに。
…素直じゃないんだから…。
つい笑いがでてしまう。
「…なんだよ。」
「ん…別にぃ。」
受信したメールを開き目を通す。
『明日会ったら、おめでとうのチューするからね!(笑)愛してるよ、ヒメ!』
…柊。
『誕生日おめでとう。明日の帰りマックでチーズバーガーおごるよ。』
良介。
『久遠おめでと!俺も嬉しいよー!明日ジュースをプレゼントするからね!』
芹沢。
『おめでと久遠!祐一郎がウザいだろうけど…テキトーにあしらってね!』
春日部。
なんかいいな…こういうの。
胸が暖かくなった。
すると…手に持ってた携帯を取り上げられ上げた顔に降りて来る、拓真の唇。
「…プレゼントやるよ。」
「なに…安眠?」
またキス。
「…快感。」
そう言って…拓真が…俺の唇に…唇を重ねた。
◇◆◇◆◇
次の日。
教室に入ろうとする背中に…
「ヒメー!」
…柊の声がして…。
「おはようヒメ!昨日のメール見た?」
「おはよ…メール?」
しらばっくれて教室に入ろうとすると、ドアに付いてた右手を握られて…
「おめでと…ヒメ。」
手の甲に…
柊がキスをした。
「な…」
「手の甲にくらい、いいだろ?」
嬉しそうに笑い、バイバイなんて手を振って…自分の教室に戻って行った。
呆然としてる俺の横で…
「ごめんね久遠…後でお仕置しとくからさ。」
こめかみにうっすらと青筋を浮かべた春日部が笑って…俺は…苦笑いした。
「久遠ー!おはよー!」
そんな柊と入れ替えに芹沢が小走りで、その後ろを良介がまったりと歩いてくる。
「おはよ。」
「オス。」
「久遠!はいこれ!」
手渡されたのは…コンビニ袋に入ったウーロン茶。
しかも2L…。
「…芹沢…?」
「中に紙コップも入ってるからね!」
そして…笑顔で教室に消えて行った。
「せめて500のにしろって言ったんだけど…。」
「…芹沢らしくてイイんじゃね?」
良介と顔を見合わせて笑った。
「あ、後でマックな。」
「うん。サンキューな。」
重いペットを持って教室に入った。
◇◆◇◆◇
そして学校が終わり、俺達は連れ立って駅前のマックに来た。
道路側の一番奥。
四人掛けのテーブル席に良介と向かい合わせに座わり、大好物のチーズバーガーにかぶりつく。
「相変わらず美味そうに食うな?」
目の前の良介はお茶を飲みながらビックマックをパクリ。
「すごい美味い。それに久し振りだしさ。」
「そうなのか?」
「うん。拓真はこういうの食わないから。」
ひとつ食べて、ウーロン茶で喉を潤す。
「良介と二人ってのも…久し振りだな。」
「ああ…いつも芹沢がいるからな。」
なんて笑い合った。
おもむろにデカい紙袋を手渡される。
「なに…?」
「みんなからのプレゼント。」
「そうなんだ!?」
ビックリして中を見ると…キレイな包装紙に包まれた箱。
「ホントは帰りにみんなでここにこようかって話してたんだけど…」
「うん?」
「俺が…断った。」
「なんでまた…?」
「お前に…ごちそうしたかったし…さ。」
しどろもどろ。
変な良介。
「春日部は柊を引きずって帰ったし、芹沢は…」
「後ろにいるよ?」
「え?」
「来ちゃった!」
顔を赤くした良介が慌てて振り返り…悪戯っぽく笑った芹沢とを交互に見ながら…俺は笑いが止まらなかった。