後ろの正面、だぁれ?

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「Σひぎゃあぁああぁぁあぁ!!」


切原の絶叫が、暗い廊下に反響する。
彼が見たモノ…それは、


ウフフ、待ッテヨー


血塗れの大きめの日本人形。
右手には鈍く光る包丁が握られている。


「何故振り返ったのだ、たわけぇえ!」

「うっさいよ、真田!」


キェエエエという文字を背負った真田を、幸村が一蹴する。

いくら運動部と言えど、所詮彼らは人間。
息の上がり始める者が出て来た。
終わりの見えない廊下を数十m進むごとに、人形との差が僅かに縮まっていく。


「、あ!」

「仁王くん!」

「仁王先輩!」

「仁王!」


仁王が、足を縺れさせて転倒してしまう。
素早く追い付いた人形が、勢いよく包丁を振り上げる。


マズハ一人、ツーカマーエタvV

「―――!!」

『やめろぉおお!!』


仁王が死を覚悟し、目を固く瞑る。
絶望した表情の一同が叫んだ瞬間だった。



ヒュッ…



風が走り抜けた。


ギァ…


人形の顔面にスニーカーが押し付けられ、踏み砕かれる。
原因となった人影は、数度破片を踏み潰した。

ズルリ…無惨な様相になった人形から、黒い靄が立ち上る。
それは何かを形作り、最終的には髪を振り乱した少女になった。


あ゙…あ、あ゙ぁ゙、あ゙ああ゙ぁあぁ゙ぁ゙!


耳を劈く声とも音ともつかないモノを発し、人影…巫女服を纏った少女に襲い掛かる。


「ちっ…うっといねん、さっさと成仏しぃや」


胸元に手を入れたかと思うと、拳銃を取り出し躊躇なく引き金を引いた。


「"あっち"で罪を償いや」


パンッという銃声一つ、少女は断末魔をあげて掻き消えた。



ーーーーー
Next.



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