後ろの正面、だぁれ?

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パンッ   ブシュ


「あーアカン、気持ち悪いわ」


顔に返り血を浴びた少女は、関西の言葉で呟く。
既に乾き始めている部分もある事から、彼女が長い時間"こういう事"をしていたと検討がつく。

撃ち抜いた"人ならざるモノ"の中身を踏み付けながら、平然と歩く。
そんな彼女は、真っ赤に染まっていた。

長い髪も、白い端正な顔も、豊満な身体を包む巫女服も、動きやすいからと履いたスニーカーも、隙間無く全て赤い。
そして所々乾いて赤黒い。

学校の校舎とおぼしき建物の窓から差し込む、青白い月明かりに照らされて浮かび上がる彼女には、凄絶や凄惨という言葉がぴったりだ。


「うー風呂入りたい…もう帰ろ」


嫌な顔をして腕を振ると、小さな悲鳴を上げて、異形のモノにダガーナイフが突き立った。


「あ、しもた、ナイフ使(つこ)たら回収せなアカンやん」


心底面倒臭そうな顔をして、比較的小さいと思われる異形に近付く。
完全に貫通しているそれを、異形を踏み付けて引き抜く。
ずりゅ、と耳障りな音がし赤黒く光るダガーナイフが彼女の手に収まった。


「さぁて、これでええかな?
前金で10万貰(もろ)たけど、こんだけ殺ったら25万は堅いな」


嬉しそうに指折り数え、くふふと笑う。

ぴちゃり、ぴちゃり。

血溜まりの中を顔色一つ変えず歩く。


「今度はどないな子買おうかなー?
やっぱシュタイフ社がええかな。
ゾッティ…はもう持っとったな。
アンティーク…んー、ちょお違(ちゃ)う気ぃするし…。
あ!ビンテージのオリジナルがええな!確かブロンドは持っとらん!」


年相応な女の子らしい笑顔で、テディベアの事を考える。


「また…明日かぁ…」


長い長い髪を揺らし、少女は闇に溶け消えた。



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