long dream
□第5.5話
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あの日。主人公に初めて会った日。
俺は関西の自然豊かなところで生まれ育った。俺の父の妹が主人公のお母さん(つまり俺のおばさん)なんやけど、学生時代に上京してそこで出会った人と結婚したから、長期休暇のときしか実家の関西まで帰ってこない。
すっかり関西弁も抜けて都会の暮らしに慣れたおばさんは、今から約20年前、生まれたばかりの赤ちゃんを連れて実家に帰ってきた。
ちょうど世間はお正月休みで、それぞれみんな実家の家族に里帰りする時期だ。俺の家も父の実家(といっても大して離れてへんけど)に親戚が集まって、新年の挨拶とかいろいろしてた。
で、俺は10歳まで1人っ子だったし(今もやけど)、父は2人兄妹だったから「いとこ」っていうのは初めての存在だった。母方も今でこそいとこはいるけど、その当時は本当に主人公が初めてのいとこで。
兄妹ができたわけでもないのに、何だかすごく嬉しくて、やたら構っていたような気がする。
「ほら主人公〜、秀くんですよ〜。主人公のお兄ちゃんですよ〜。」
そう言って主人公をあやすおばさんを覚えている。
赤ちゃんは本当にちっさいから、俺が触ったら壊れちゃいそうで、でも嬉しくて、おばさんの隣でずっと頭をなでてた。
h「…ちっちゃいなぁ。」
「ちっちゃいでしょう。去年生まれたばかりだからね。」
h「いつ生まれたん?」
「6月の、梅雨の時期よ。でも、主人公が生まれたのは雨が上がって、虹が出ていたの。」
h「へー…。」
「秀くん、主人公と仲良くしてあげてね。」
h「……うんっ!」
そのとき、おばさんと主人公と仲良くする!て約束したんやったなぁ。