夢
□そんな彼が好き
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なんで好きになったんだろうか。
よく、わからない。でも好きなんだ。
付き合ってるのに感情表現してくれない彼でも、好きなんだから仕方ない。
『真ー好きー』
「うっせぇ」
私から感情表現しても、応えてくれないけど彼が好き。そんなところも好き。一度だけ、初めて私に見せた優しさに惚れたのに、それ以来見てないけど彼が好き。真から好きって、言ってくれるように私は頑張る。それが意外と楽しいんだ。
『真ー!!めっちゃかっこよかった!!!』
「黙れー」
こいつ………照れてんのか本気なのかが分からない。なんなんだちくしょー………私はこんなに好きなのに。
でも、こうやって真のこと考えてるだけで楽しいからいいの。
真が私のことを今どう思ってるのか、真の口からは聞いていない。でも、信じてるよ。私からの一方通行のように見えるけど、真、嫌がってないと思う(のは勘違い?)。
『真ー?』
あいつの名前を呼ぶ。それも好き。
『真、私のことどう思ってる?』
「は?なんとも」
『私は真の何でしょーか!』
「彼女」
きっぱり答えてくれるから。だから信じてる。
『私ね?真のこと好きなんだ。大好きー』
「オレも、風菜のことが大好きだ。愛してる
なんて、言『言うわけねぇだろバァカ』
「な、オレの台詞言うな!」
『えっへへー♪私は真のことなんでも知ってるからね〜』
「オレもお前のこと、なんでも知ってるから」
『………例えば?』
「風菜。大好きだ」
それはいつもの
『なんて、……』
言いかけて口を塞がれる、真の口で。
「なんて言ったら、風菜が喜ぶこととか」
私の顔に触れる。そんなことをされるのは初めてで、くすぐったい。
「すぐ顔を真っ赤にすることとか」
あぁ、やっぱり信じてよかった。これがいつもの嘘には到底見えなかった。真のことが好きでよかった。
「お前がオレのこと、大好きなこととか」
そんな彼が好き。
end.